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WOC Nursing 21年6月号
A4変型判
2021年6月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73091-1
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特集急性期褥瘡の発生機序と治療・ケアのコツ
企画編集/茂木精一郎(群馬大学大学院 医学系研究科 皮膚科学 教授)
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 この雑誌をご覧になっている皆さんは,病院内や在宅医療にて,医師,看護師,栄養士,薬剤師,理学療法士などによる多職種の褥瘡チームを結成し,褥瘡の早期発見を目標として,熱心に定期的な観察をされていることと思います。その際に,消えない紅斑や紫斑として発生初期の褥瘡を発見できることも多いと思います。このような,まだ皮膚潰瘍に至っていない状態である「急性期褥瘡」を早期に発見することができた場合,皆さんはどのように対処されているでしょうか? まず,不適切な環境要因・ケア要因(湿潤,摩擦,ずれによる局所的要因など),低栄養などが褥瘡発生の原因となっていないかどうか? ということを確認し,それらの要因を改善させるためにはどのように対処すればよいか?と考え,さまざまな処置や工夫をされていると思います。今回の特集では,そのような「急性期褥瘡」の病態や発症機序,そして治療・ケアにおけるさまざまな疑問に対して,それぞれのエキスパートの先生方に詳しくご解説いただきました。
 本特集では,まず,「急性期褥瘡」と「慢性期褥瘡」との違い,経過について,「急性期褥瘡」の発生機序と関連要因(老化,不適切な環境要因・ケア,低栄養など),そして鑑別疾患について総論的にご解説いただきます。次に,各論として,まず身体に加わる外力と「急性期褥瘡」の発生との関係についてご解説いただき,不適切な外力を改善させる方法・ケア,器具などをご紹介いただきます。また,「急性期褥瘡」が発生する分子生物学的機序について,酸化ストレスを中心にご解説いただきます。「DESIGN-R2020」に新たに含まれた深部損傷褥瘡:Deep Tissue Injury(DTI)についても,原因や機序,臨床的特徴,同定方法などをご解説いただきます。超高齢社会の日本においては,褥瘡患者数は増大し,褥瘡の予防・治療・管理の重要性が高まっていますが,老化に伴うさまざまな変化のうち,褥瘡の発生に関わる要因(脂肪・筋肉量の低下,骨突出,免疫能低下,関節拘縮,便尿失禁,知覚低下,創傷治癒力低下など)についてご解説いただきます。低栄養と褥瘡の発生との関係,とくに亜鉛欠乏では褥瘡が増悪しやすく治りにくくなる機序について詳しくご説明いただきます。「急性期褥瘡」の発症に関わる環境・ケア要因についてまとめていただき,これらの要因を改善させるリハビリテーションやスキンケアなどについて示していただきます。最後に,「急性期褥瘡」における治療法(外用,貼付剤,観察方法など),そして,ケアの方法(除圧の見直しなど)についてまとめていただきました。
 上記のごとく,それぞれのエキスパートの先生に詳しくまとめていただきました。この「急性期褥瘡」に注目することで,その後の皮膚潰瘍の発生を少しでも予防,抑制することにつながり,さらには患者のQOL向上,医療費や人件費,労働量の削減も期待できます。皮膚潰瘍の発生した後の「慢性期褥瘡」に対する治療法などの特集は数多くありますが,「急性期褥瘡」に着目した特集は少なく,貴重な1冊になるでしょう。

茂木精一郎
群馬大学大学院 医学系研究科 皮膚科学 教授
1. 急性期褥瘡とは/田村政昭
2. 身体に加わる外力と急性期褥瘡の発生との関係について/加納宏行
3. 急性期褥瘡が発生するメカニズムに迫る/内山明彦
4. 深部損傷褥瘡:Deep Tissue Injury(DTI)について/磯貝善蔵
5. 皮膚の老化と急性期褥瘡の発生機序/倉繁祐太
6. 急性期褥瘡の発生機序と栄養について/岡田克之
7. 亜鉛欠乏による急性期褥瘡発生の機序/関口明子
8. 急性期褥瘡の発症に関わる環境・ケア要因について/松岡美木
9. 急性期褥瘡の治療・ケアの進め方/角 総一郎,前川武雄