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WOC Nursing 21年10月号
A4変型判
2021年10月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73095-9
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特集褥瘡対策チームにおける多職種間の相互理解と連携強化のために知っておきたいコト
企画編集/橋本一郎(徳島大学大学院 医歯薬学研究部 形成外科学 教授)
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 褥瘡は,発症しないように予防すること,発症してしまった創部に対する治療,そして治癒後に再発しないようにあるいは治癒しない褥瘡が悪化しないように管理すること,と幅広い対策が必要です。患者と接する場所もさまざまであり,病院,介護施設,在宅では対応できる医療者が違えば,使用できる薬剤や医療機材なども違ってきます。これらの褥瘡の治療と予防管理は,1つの職種では行えないことも大きな特徴です。それぞれの場所での多職種によるチーム力がたいへんに重要になってきます。
 このチーム力を十分に発揮するためには,多職種間の連携強化や連携をスムーズにすることが必要であり,基礎的な知識を共有して相互の理解を深めることが大切です。また,各職種の専門分野における学問的あるいは手技的な進歩には目覚ましいものがあります。褥瘡の予防・管理と治療に関して,最新の手技や治療を患者に届けるためには,各専門分野のアップデートも吸収したうえで多職種の連携を強化する必要があります。ただ,他職種や他の専門領域におけるup-to-dateな情報を手に入れて理解することは難しいものです。今回の特集では,各職種の第一人者にお願いして,まず褥瘡予防と治療に関する基礎知識の整理と最近の知見について解説していただき,続いて各職種における褥瘡治療に関連する基礎知識や最新の知見を紹介していただきます。
 褥瘡の状態を評価するスケールとして日本褥瘡学会が2002年にDESIGNを,2008年にはそれぞれの項目に重みづけが加えられたDESIGN-Rを発表しました。そして深さにおいて「Deep Tissue Injury(DTI:深部損傷褥瘡)」を,炎症・感染においては「臨界的定着疑い」を加えた,DESIGN-R2020が新しく登場しています。医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)の予防と管理に関する指針が,2016年に日本褥瘡学会から発刊され,褥瘡の定義であった自重以外の原因による圧迫創についても医療者が積極的に関与することが可能となりました。体圧管理とスキンケアについては,体圧分散寝具やスキンケア用品のそれぞれの進歩により考え方に変化がみられています。褥瘡の治療においては,陰圧閉鎖療法(NPWT)が普及してきましたが,洗浄機能を付加した新しい器具が登場しています。その他には,集中治療室における早期離床の取り組みや,理学療法におけるフレイルやサルコペニアといった比較的新しい概念,そして薬剤や栄養におけるアップデートを紹介していただきます。
 本特集号が,褥瘡予防と治療を多方面から理解することで,多職種との連携が深まるための決定版になると確信しています。

橋本一郎
徳島大学大学院 医歯薬学研究部 形成外科学 教授
〔A. 褥瘡治療と予防・管理に関する基礎知識とアップデート〕
 1. 褥瘡基礎知識とそのアップデート/三谷和江
 2. 医療関連機器圧迫創傷に関する基礎知識とアップデート/石澤美保子,西林直子
 3. 体圧管理と体圧分散用具における褥瘡予防と治療・管理に関する基礎知識とアップデート/田中マキ子
 4. 褥瘡予防と治療・管理に関するスキンケアの基礎知識とアップデート/政田美喜
〔B. 多職種からの褥瘡予防と治療・管理に関する基礎知識とアップデート〕
 5. 褥瘡保存的治療における基礎知識とアップデート/安倍吉郎,橋本一郎
 6. 褥瘡外科的治療における基礎知識とアップデート/野田和男,青木久尚
 7. 集中治療室での早期離床の取り組みにおける基礎知識とアップデート/河原良美,大藤 純
 8. リハビリテーション専門職からみた基礎知識とアップデート/永吉恭子,門條宏宣,吉川義之
 9. 薬剤師からみた基礎知識とアップデート/生島繁樹
 10. 栄養の観点における基礎知識とアップデート/真壁 昇
 11. 在宅看護・特定行為における基礎知識とアップデート/山下留理子,久田玲子,森 美樹,岩佐幸恵
 12. 在宅領域における多職種間連携に必要なコト/中川宏治,田村收代