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WOC Nursing 21年11月号
A4変型判
2022年2月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73096-6
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特集Withコロナ時代の在宅褥瘡ケア
企画編集/塚田邦夫(医療法人社団 研医会 高岡駅南クリニック 院長)
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 新型コロナウイルス感染によって,私たちの生活は根本から変化してしまいました。病院や施設,在宅での医療者はどのように対応し,また患者・家族はどのように対応されたのか。今後訪れる新たな感染拡大に向けて,現場の声を伝えたいと企画しましたが,第6波に見舞われ頓挫の危険に見舞われました。
 今回の企画は第1線で活躍されている方に執筆をお願いしましたが,現場では忙しい状態が持続し,原稿を書ける状態ではありませんでした。執筆を承諾された方も第6波で,ほとんど不眠不休の状態となり,執筆を断念された方もいらっしゃいます。
 今回お寄せいただいた原稿は,そのような喫緊の状態の中でなんとか時間を作ってお書きいただいた貴重な内容です。
 まずは飯島勝矢様から,コロナ禍があぶり出した高齢者が潜在的に抱えていた栄養と運動習慣の問題が,より強調されたことがデータで示されました。その中で新しい社会とのつながり,コミュニケーションの提案など未来を見据えた内容となっています。
 私 塚田邦夫からは,コロナ感染対策として外出を避け,人との関わりを断った高齢者が,意識は清明で歩くこともでき,栄養状態も悪くない方に「テレビ褥瘡」と名付けた褥瘡が多発したことを示しました。これを早期に発見すればすぐに治せます。しかし,対応が遅れると,重度で難治性の褥瘡になることが予想されます。対策は,このような褥瘡のあることを知ることだと考えます。
 自身がコロナウイルスに感染しただけではなく,夫を失うという辛い体験をされた小野寺有香様には,思い出すだけでも辛くなる内容を自己分析をしながら伝えていただきました。患者の気持ち,患者家族の気持ち,そして医療者としてそれらをできるだけ冷静に見ることで少しずつ乗り越えていった過程をつぶさにお書きくださいました。
 坂口さち子様と髙木 暢様からは,訪問看護ステーションと在宅診療という,在宅の第1戦で激務の中から時間を作り投稿していただきました。現場での対応は,自分自身がコロナ感染しないことが重要と書かれていますが,在宅ではなかなか感染対策が難しい点もあります。参考にしたいと思います。
 間宮直子様,布留川美帆子様,加瀬昌子様からは,病院の皮膚・排泄ケア認定看護師であり病院内の褥瘡・創傷対応をするだけではなく,いかにして在宅へ繋ぎ生活を支えるか,時に在宅訪問も行いながら地域を守る覚悟が力強く書かれています。
その中で共通して書かれているのが,標準予防策による感染対策です。普段から行っていることをより徹底する,それを皆で確認することのようです。なお,標準予防策については,加瀬昌子様が詳しく書いてくださいました。
 皮膚科医として袋 秀平様は,淡々と自分の仕事をお書きくださいました。冷静な対応が現場の医師に必要であり,情報を集め状況判断が大切であることを書いてくださいました。
 以上のように,コロナ感染による社会情勢の変化,それによる褥瘡の持つ新たな側面,そして,コロナ感染が持つ当事者へのインパクトの大きさに気付きました。
 病院や在宅で活躍される方々の心構えが,かなり落ち着いたものであることが示されましたが,現場には独特の緊張感があるのでしょう。今回の貴重な現場の声が,今後の感染対策のお役に立てることを願っています。

塚田邦夫
医療法人社団 研医会 高岡駅南クリニック 院長
1. コロナ禍でのフレイルの特徴/飯島勝矢
2. 歩ける人にもできるコロナ禍テレビ褥瘡/塚田邦夫
3. コロナ感染当事者の苦痛/小野寺有香
4. コロナ禍で訪問看護と在宅褥瘡ケアはどのように変化したか/坂田さち子
5. 在宅褥瘡への関わりはコロナ禍でいかに変わったか/間宮直子
6. 急性期病院から在宅生活へ,シームレスな褥瘡・創傷ケアの連携と実践/布留川美帆子,判澤 恵
7. コロナ感染対策として何をしたのか/加瀬昌子
8. コロナ禍における訪問診療の位置づけ/髙木 暢
9. コロナ感染が広がる中での訪問診療/袋 秀平