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WOC Nursing 第103号(Vol.10 No.6 2022)
A4変型判
2022年9月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73103-1
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特集特定行為としての陰圧閉鎖療法の実践と課題
企画編集/加瀬昌子(地方独立行政法人 総合病院 国保旭中央病院 看護局 スキンケア相談室 師長,皮膚・排泄ケア特定認定看護師)
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 局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy;NPWT)は,1990年代に米国で始まった治療方法であり,日本では2010年より保険適用となりました。NPWTは,創部を密閉し陰圧をかけることで治癒を促進させることを目的として,多くの病院で使用されています。
 NPWTの作用機序には,①創縁を引き寄せて創収縮を促進,② 過剰な滲出液を除去することで適切な湿潤環境を保つ,③陰圧による物理的刺激により肉芽形成や血管新生を促進,④吸引による細菌量の減少,⑤陰圧による局所血流量の増加などによって治癒が早まるといわれます。
 NPWTの適応は,静脈性下腿潰瘍,外傷,褥瘡,糖尿病性潰瘍,術後離開創などが挙げられ,エビデンスとして,多くの論文でその有効性が報告されています。とくに糖尿病性潰瘍では十分な根拠があり推奨されています。
 さて,2015年10月,チーム医療を推進し,看護師がその役割をさらに発揮するために,特定行為に係る研修制度が開始されました。特定行為研修を修了した看護師は,急性期から在宅医療などのさまざまな現場で,患者の状態を見きわめて,タイムリーな看護を提供するなどの活躍が期待されています。今回のテーマであるNPWTの実践は特定医行為の1つに含まれます。医師の包括的指示の下で手順書に沿って実践される特定看護師の役割としては,NPWTのフォーム交換のみならず,創傷に見合った機器の選択,必要物品の準備,実践時の疼痛管理やリーク対策,スキントラブルを起こさないためのスキンケア,ADLの向上やアラームへの対応,スタッフ指導,医師とのコミュニケーション,記録,保険請求など幅広い管理が求められます。
 2022年3月時点での創傷管理関連における特定看護師の人数は,1936名となりました。
 本特集では,特定行為としての陰圧閉鎖療法を第一線で実践している方々に「特定行為としての陰圧閉鎖療法の実践と課題」について依頼しました。特定行為研修の内容の紹介から,看護師医行為を行ううえで欠かすことができない臨床での安全管理,NPWTの実践と課題,NPWT実践中のADL確保,在宅での陰圧閉鎖療法の工夫や課題について執筆いただき,日頃の臨床で活用していただけるように解説いただきました。

加瀬昌子
地方独立行政法人 総合病院 国保旭中央病院 看護局 スキンケア相談室 師長,皮膚・排泄ケア特定認定看護師
1. 陰圧閉鎖療法の診療報酬の実践運用/高水 勝
2. 局所陰圧閉鎖療法機器の歴史,使用時期の選択と実践の工夫/岡田恭典
3. 特定行為研修における陰圧閉鎖療法の教育の実際/樋口ミキ
4. 特定行為実践にあたっての医療安全体制の整備/間宮直子
5. 陰圧閉鎖療法とスキンケア(皮膚を護る)/谷 明美
6. 手順書に基づいた腹部離開創陰圧閉鎖療法の実際と課題/小島由希菜,松岡美木
7. 手順書に基づいた慢性創傷陰圧閉鎖療法の実際と課題/丹波光子
8. 貼付困難な部位に対しての陰圧閉鎖療法の工夫/竹之内美樹
9. 陰圧閉鎖療法施行中のADL確保:理学療法の留意点/野村良亮
10. 入院外(外来・在宅)における陰圧閉鎖療法の工夫/加瀬昌子