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WOC Nursing 第112号(Vol.12 No.2 2024) |
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A4変型判
2024年5月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73112-3
全ページカラー印刷
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特集●ストーマ周囲皮膚障害の予防と治療的スキンケアに強くなる
企画編集/工藤礼子 |
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ストーマ造設は,疾患に対する根治的治療または,生活の質向上のために,最良の方法として行われます。そのことを患者が受け入れて手術に臨み,セルフケアを習得し,退院後はできるだけもとの生活に近いあるいは,それぞれが望む生活に戻れることが理想です。
そのなかでもとくに大事な要素は,安定したストーマ管理ができていることです。安定したストーマ管理とは,定期的な装具交換ができ,漏れる心配が少ないことが必須条件です。そのためには予防的スキンケアを行い,皮膚ができるだけ健常に保たれていることが大切です。
私が以前勤務していた施設で,ストーマ外来を始めたばかりのころ,他の施設で腹会陰式直腸切断術を受けて,適切な装具選択ができていなかったようで,激しいストーマ周囲皮膚障害に悩んでいる人が来られました。とてもつらそうな表情で,「こんなに,痛くて,つらい思いをするならば手術をしなければよかった。」と言われ,着替えが一式入った大きな手荷物を持っていました。皮膚障害の原因をアセスメントし,治療的スキンケアを施すと皮膚障害が改善し,安定した装具装着期間が得られました。するとみるみる表情が明るくなり,手荷物は小さくておしゃれなバッグに変わっていきました。ある日ビースの指輪をしてこられ,「こういう趣味がまたできるようになりました。」と笑顔で教えてくださいました。
このときの経験により,適切なストーマケアを行うことがいかに重要かを肝に銘じ,また,それを広めていく必要があるという使命感を抱きました。
諸先輩方の貢献により,2012年には術前処置加算が保険収載され,現在ではストーマ術前マーキングが当たり前のように行われ,理想的なストーマ造設法が標準化され,ストーマ装具は開発・改良を重ねて発展し,種類が豊富になり,ストーマケアに難渋することは以前よりは減っているように思います。しかし,ストーマは皮膚と排泄物が接触しやすい環境にあるため,皮膚障害は避けがたく,また,診断と治療の発展に伴い,幅広い年齢や背景の患者にストーマ造設が行われ,抗がん剤治療を長期に行うことが増え,それゆえのストーマケアに難渋することは増えているのではないでしょうか。
本特集では,臨床で出合うことの多いストーマ皮膚障害に対する治療的スキンケアに加え,押さえておいてほしい特殊例へのスキンケアを提示します。そのノウハウはとても興味深く感じていただけることと思いますが,まずは,それを支える皮膚障害を起こさないための予防的なスキンケアに関する知識が必ず必要です。
一人でも多くの方がこの特集を手にとられ,ストーマ周囲皮膚障害の予防と治療的スキンケア方法を習得されて,ストーマ保有者に貢献していただけることを願っています。
工藤礼子
(国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 看護部,皮膚・排泄ケア認定看護師)
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- ストーマケアに必要な皮膚の解剖・生理/鶴田成二
- ストーマ周囲の皮膚の特徴/中野祥江
- ストーマ周囲皮膚に対する基本的スキンケア/斎藤容子
- 皮膚保護剤の種類と特徴/細井早霧
- ストーマ周囲皮膚のアセスメント/石黒幸子
- 化学的刺激を原因としたストーマ周囲皮膚障害と対応/古川純子
- 物理的刺激を原因としたストーマ周囲皮膚障害と対応/平山千登勢
- 炎症性腸疾患患者に起きやすいストーマ周囲皮膚障害と対応/積 美保子
- 抗がん剤治療中に起きやすいストーマ周囲皮膚障害と対応/工藤礼子
- 高齢者に起きやすいストーマ周囲皮膚障害と対応/持田裕子
- 小児に起きやすいストーマ周囲皮膚障害と対応/保刈伸代
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