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WOC Nursing 第113号(Vol.12 No.3 2024)
A4変型判
2024年7月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73113-0
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特集●がん患者の皮膚を守る!〜滲出液によるトラブルを防ぐための全人的スキンケア〜
企画編集/高木良重

 がんに対する代表的な治療として「手術療法・化学療法・放射線療法」があり,治療技術は年々向上しています。治療に伴う副作用や合併症といった身体症状を避けることができないことも多く,がんサバイバーと呼ばれる人たちはこうした治療にまつわるさまざまな変化を体験しながら,生活を送っています。
 再発や転移に対する不安や恐怖を抱えていたり,他者との関わりや経済的負担なども気がかりとなることもあり,私たちはがんサバイバーの身体的,心理的,社会的な側面に着目しながら全人的な視点で援助していく必要があります。
 今回はがん患者の皮膚を守ることをテーマに挙げ,がんサバイバーとして療養生活を継続するための看護について考える機会にしたいと思います。
 皮膚は身体を覆っており,最大の臓器といわれています。通常は,皮膚のバリア機能として外部からの刺激を遮断し,内部組織の恒常性を保っていますが,がん治療によりバリア機能が破綻すると皮膚トラブル発生につながります。また手術の結果として創傷管理が必要となったり,病状の進行に伴い創傷が認められたりすると,創傷からの滲出液が皮膚トラブルの原因になります。このような皮膚トラブルのことをmoisture associated skin damage(MASD)と呼び,滲出液や排泄物といった皮膚にとっての刺激物が長時間皮膚にさらされることで,皮膚損傷をもたらします。また,創傷や滲出液に伴う外観の変化やにおいはQOLの低下にもつながることから,生活環境を整えるうえでは医療者だけではなく家族などの重要他者の関わりも重要となります。
 本特集では,スキンケアを皮膚トラブル予防という局所だけではなく,がんサバイバーの生活を支えるという幅広い視点で捉えて,「全人的スキンケア」としました。がん患者の自壊創や瘻孔からの滲出液によるスキントラブルを防ぐためのケアの実際や療養生活を送るうえでの支援について,臨床実践を通して紹介します。

高木良重
(福岡大学 医学部 看護学科,がん看護専門看護師/皮膚・排泄ケア認定看護師)
  1. がん患者に対するスキンケアの基本/直海倫子
  2. スキントラブルに伴うアピアランス(ボディイメージ)に考慮した関わり/野口玉枝
  3. 自壊創ケア 〜創傷ケアに向けての臨床判断〜/政田美喜
  4. 瘻孔ケア 〜チームで関わるための教育的視点〜/高橋 純
  5. 放射線皮膚炎のケア 〜治療継続に向けた予防と管理の重要性〜/宮前奈央
  6. スキンケア実践に必要となるセルフケア能力 〜がん患者のセルフケア能力をアセスメントし実践に活かす〜/江上雅代
  7. 褥瘡・創傷のある患者を支える家族の支援/浅野悠佳
  8. 在宅ケアを行っていくうえでの連携と調整/梶田志帆,廣渡真奈美
  9. がん患者に活用できるスキンケア用品 〜自壊創のスキンケア・創傷ケアを中心に〜/江口 忍
  10. 自壊創のにおいを軽減するためのケア/松原康美