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WOC Nursing 第114号(Vol.12 No.4 2024) |
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A4変型判
2024年10月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73114-7
全ページカラー印刷
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特集●在宅・高齢者施設で行うフットケア
企画編集/今井亜希子 |
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2024年現在,わが国では要介護状態である高齢者数は700万人を超え,在宅医療の需要はますます高まっています。自宅や介護施設で療養している高齢者の多くは,内科的な基礎疾患に加えて,サルコペニアや廃用症候群,認知機能の低下などを含むさまざまな老年症候群を抱えています。そして,その大多数がなんらかの足病変を有することがわかっています。訪問診療や訪問看護に関わっている方ならば,肥厚した足の爪を切ってほしいと頼まれたり,糖尿病性足潰瘍の治療・ケアに難渋したりという経験が少なからずあると思います。
在宅療養高齢者に行うフットケアの主な目的には,(1)糖尿病や重症下肢虚血による重症足病変の発生を予防または治療すること,(2)足を健康に保ち,日常生活動作・運動機能を維持することの2つがあり,両者ともが欠かせない視点です。
在宅医療の現場において虚血性足潰瘍や壊疽などの重症足病変の患者,その予備軍ともいえる患者が増加していますが,病院で行う治療とはさまざまな面で異なっています。訪問診療医はそのほとんどが内科医であり,皮膚科医や形成外科医が往診するケースはまだ少ないのが現状です。また各家庭,各施設によって介護力や用意できる物品に差があるため,個別に対応する必要があります。在宅でどこまで診るべきか,誰が何をするべきかという判断もケースバイケースといえます。(2)の「予防的フットケア」を進めるうえでは,家族や介護従事者の理解と協力を得ることが欠かせません。さまざまな職種が参入している在宅現場においては適切なケア方法を誰にでもわかりやすく伝えることが大切になります。このように,在宅で行う足病診療・フットケアには解決すべき課題がたいへん多く,まだまだ発展途上の段階といえます。
これからの在宅医療では,各地域での指導的な役割,在宅と病院間を連携する役割など,WOCNの皆さまの活躍が期待される場がますます増えることは間違いありません。フットケアに限らず,在宅で適切な提案や助言を行うためには,医療だけでなく介護領域のサービスに関する知識ももっている必要があります。本特集「在宅・高齢者施設で行うフットケア」は,日本フットケア・足病医学会の在宅医療委員を中心とした執筆陣に記事を書いていただきました。それぞれ在宅現場での経験がとても豊富な先生方で,足病の基本的な知識から,在宅・施設での具体的なケア方法,さらに地域連携を強化するためのポイントまで,実践的で医療・看護・介護の領域を幅広くカバーした内容になったと自負しています。この特集を通じて,在宅や高齢者施設で行うフットケアについて広く知っていただき,読者の方がそれぞれの現場で役立てていただければ幸いです。
今井亜希子
(ひかり在宅クリニック 皮膚科)
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I 在宅高齢者の足になぜフットケアが必要か
1. 在宅におけるフットケアの重要性/袋 秀平
2. 高齢者に多い脚から足の皮膚病変/岡田克之
3. 高齢者に多い足の爪病変/高山かおる
II 訪問看護師・施設看護師に行ってほしいフットケア
1. 訪問看護で行うフットケア/小笠原祐子,平尾由美子
2. 高齢者施設で行うフットケア/池永恵子
3. 認知症高齢者に行うフットケアのコツ/間宮直子
III 在宅で診る重症足病変と病診連携
1. 在宅における重症足病変─実際の症例・対応─/登坂 淳
2. 在宅における重症足病変─地域連携のコツ─/木下幹雄
IV 介護現場に広めたい基本的フットケア
1. 介護予防におけるフットケア/奥田晶子
2. 地域でもっと在宅フットケアを広めるには/大場広美
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