A4変型判
2025年2月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73116-1
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特集にあたって
2012年の診療報酬改定により,医療機関または訪問看護ステーションに所属する専門看護師・認定看護師(がん看護専門看護師・緩和ケア認定看護師,皮膚・排泄ケア認定看護師)などの「専門性の高い看護師」と地域の訪問看護師が一緒に患者宅へ訪問することで算定できる「在宅患者訪問看護・指導料3」および「訪問看護基本療養費(I)(II)のハ」(いずれも医療保険で12,850円)が新設されました。これにより緩和ケアと褥瘡ケアの分野において,他の医療機関に所属する訪問看護師との「同行訪問」が可能となりました。「真皮を越える褥瘡の状態にある利用者」と2018年の改定では「人工肛門・人工膀胱周囲の皮膚にびらんなどの皮膚障害が継続・反復している利用者や人工肛門・人工膀胱の合併症がある利用者」にも適用が広がりました。褥瘡に関しては2022年の改定で特定行為研修修了看護師が同行訪問を行うことも可能となっています。
医療機関からの退院後,在宅では訪問看護師が継続したケアを行いますが,すべての訪問看護師が専門的な知識・技術に長けているわけではありません。同行訪問は,より専門的な知識をもつ専門看護師・認定看護師と訪問看護師が一緒に利用者の自宅へ伺うことで,アセスメント・指導された内容をその後のケアに活かし,質の高いケアが提供できることを目的としています。
しかし,創傷・オストミー・失禁管理学会による2022年度の実態調査で,在宅患者訪問看護・指導料3の算定状況は22.1%に留まっており,診療報酬の新設から10年経過してもあまり伸びていないのが現状です。その理由として,施設内での業務が多忙であること以外に,「訪問看護師とどのような連携をとればよいかわからない」「コストの算定方法がわからない」などの意見が聞かれています。
働く場所を在宅へと移行する認定看護師も徐々に増えていますが,皮膚・排泄ケア分野で訪問看護ステーションに在籍している人は全体の2.6%(2022年度の実態調査より)とまだまだ少なく,在宅におけるケアの質の向上のために同行訪問の必要性は高いことがわかります。
この特集企画では,同行訪問を実際に行っている方々から実際の活動をご教示いただき,より多くの認定看護師が積極的に同行訪問を行えるように,また訪問看護師がその活動について理解することで,認定看護師と連携していくことができるように,それぞれの分野でご活躍されている皆さまに解説していただきたいと思います。
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