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WOC Nursing 第125号
WOC Nursing 第125号(Vol.14 No.3 2026)

特集●関節拘縮の改善・予防のためのケア
   〜尊厳を支えるトータルケアとチームアプローチ〜

企画編集:中村元樹
発行:2026年5月
判型:A4変型
頁数:80
ISBN:978-4-287-73125-3
定価:2,750円(本体2,500円+税10%)

特集にあたって

 皆さんは,患者(利用者)の将来をどこまでイメージしているでしょうか?
 なぜ,将来をイメージしてもらうかというと,私が介護老人保健施設で勤めていた当時は,寝たきりの状態で関節拘縮が重度であり,安楽な姿勢をとることが困難な方が,今よりも多くみられました。その方々が亡くなるときには棺に入りますが,手を組むことができない,足が伸びない,体が捻れて姿勢が安定しない,口を閉じることができない,入れるために体を調整する必要がある(想像してみてください)など,亡くなった姿勢をみると棺での姿勢が容易に想像できました。実際に葬儀業者と連携をすると,現在は棺のサイズ調整など体に合わせた対処方法があるようです。しかし,昔はご遺体を家族から見えないところに移し,体の調整をしていたことも実際にあったとの話を聞いたことがあります。それを聞き,私自身,介入するときは,その方が亡くなったときの姿勢まで想像して関わることを常日頃から意識してきました。『終末期介護への提言』の著者である大田仁史先生は,亡くなった方の姿勢は「ケアの通信簿」であると記しており,私自身も,その方の今まで歩んできた生活や,受けてきたケアを表していると考えています。
 関節拘縮に関する原因や病態の理解も進んできており,状態に合わせた支援方法を検討していくことが必要とされています。また,関節拘縮が呼吸障害や褥瘡,介助困難などにつながるため,将来を見据えた視点での予防的介入がとても重要になります。関節拘縮に対する介入は,2010年の『潜在力を引き出す介護』という書籍で,理学療法士の田中義行先生と関わり,現場での実践を重ねてきました。そして,ポジショニングやシーティング,介助などの方法を実践しながら,その具体的な方法を,かながわ福祉サービス振興会が主催するかなふくセミナーや,施設に訪問しての指導など,15年ほどで約1000人以上の介護職や看護職,ソーシャルワーカーやケアマネジャー,療法士や福祉用具専門相談員などに指導してきました。セミナーなどで皆さまから質問される内容でとくに多いものは,関節拘縮の強い場合の支援方法や,関節拘縮について学ぶ場所が少ないとの話でした。そのため,多くの方々へ関節拘縮に対する支援方法を知っていただくために活動を継続してきました。
 今回の特集では,関節拘縮へのアプローチを現場で実践し,知識を普及・啓発されている田中義行先生にもご参加いただき,関節拘縮の概要やアプローチ方法をまとめています。また,実際の現場での介入で工夫している点を,現場での実践を行っている先生方にもテーマごとにまとめていただき,臨床につながる内容を述べていただいています。関節拘縮により生活を困難にしている方やご本人の思いが見えにくくなっている方への支援につながり,ケアや支援を行うスタッフの皆さまの新たな気づきや視点が増え,関わるすべての方が少しでもよりよい方向に進むための一助になれば幸いです。

中村元樹
(愛を繋ぐ訪問看護リハビリステーション リハビリ部門 責任者,作業療法士・福祉用具プランナー)

目次

  1. 死後まで意識した関節拘縮ケアの重要性と実践/中村元樹
  2. 原因に合わせたアプローチ〜抗重力筋から考える関節拘縮ケア〜/田中義行
  3. 関節拘縮ケアのためのポジショニング〜考え方と実践ガイド〜/中村元樹
  4. 関節拘縮に関わるシーティングの考え方と実践/田中義行
  5. 関節拘縮がある人のためのケアと介助/山浮ゆみ
  6. 関節拘縮ケアに関わるコミュニケーション機能と摂食嚥下機能〜関節拘縮が嚥下やコミュニケーションを妨げる構造的理解とその予防的支援〜/山下皓司
  7. 皮膚・循環・栄養から支える「関節拘縮になりにくい身体づくり」/重田哲司
  8. 関節拘縮ケアのための福祉用具の視点〜関節拘縮ケアにおける福祉用具活用の戦略〜/沼田一恵
  9. 地域で支える関節拘縮ケア〜訪問リハビリテーションの実践〜/渋江拓郎
  10. ケアマネジャーとチームでつくる関節拘縮ケアプラン/泉 和央