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月刊循環器CIRCULATION 6月号 |
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13年5月27日発売
A4変型判120頁
価格:本体¥2500+税 ISBNコード:978-4-287-83022-2
全ページカラー印刷
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企画編集/渡辺弘之 |
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聴診器は医師の象徴ともいえる道具であるが,最近は出番が少ないようである.カテーテル室や病棟の片隅にまとめて束ねられていることもある.また,大学の授業ではobjective structured clinical examination(OSCE)を受けたはずなのに,現場ではどうも…ということもある.なぜだろうか.
かつて,聴診器による心音に代表される身体所見がさまざまな検査方法と比較されたことがある.もちろん,科学的な検証は必須だが,これらを単純な比較だけで取捨選択することは大きな誤りである.
たとえば,画像診断は心臓の異常をきわめて高精細な画像で示している.最近の技術的発展により,定量的診断の領域はめざましく拡張されている.また,血液検査で心不全が推定できるようにもなってきた.その結果,従来の予測を遥かに越えて,詳細かつ的確な診断が可能になりつつある.極端にいえば,画像診断や血液検査により,患者を診察しなくとも,つまり,身体所見がなくとも診断にたどり着くことができるということである.しかし,いくら検査を重ねてもすべてを把握できるわけではない.まず,検査には数えきれない種類があり,取捨選択と優先順位には一定の根拠が必要である.そして,ひとつひとつの検査で診断できる範囲は決して広くはない.つまり,個別の事実を積み上げるだけでなく,主治医チームはそれらを有機的に結びつけ,総合的・俯瞰的に全体像を把握しなければならない.これが臨床的診断のひとつの側面であり,そこに私たち医師の存在意義がある.
このような考え方は,数字のひとり歩きを減らし,整合性のとれない検査結果に新たな光を当て,見落としを減らすセーフティネットである.III音や経静脈怒張が心不全の予後推定に威力を発揮することは近年の論文でも明らかである.また,heaved patternの心尖拍動は心エコー図で見落とした心肥大を診断しうる有用な所見である.さらに,リアルタイムに結果がわかる身体所見は,臨床家にとって最大の武器のひとつである.身体所見で決定的な証拠があれば,ベッドサイドで,その場で確定診断に至ることも可能である.とくに急性疾患では,時間的遅れのない的確な診断が生命を危機から救うことに直結している.たとえば,脈拍の左右差が大動脈解離の診断につながることは,最も知られた知見のひとつである.
身体所見の有用性は過去の栄光ではなく,日々の臨床で今でも実証されていることである.医療現場にさまざまなツールがあふれている現代では,むしろその価値は日々高まりつつある.身体所見は知識ではなく実践であり,普段の医療で繰り返し身体所見を取ってこそ威力を発揮する.本特集は,身体所見にもう一度目を向けるために企画したものであり,読者の参考になれば幸いである.
企画編集:渡辺弘之
東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター長
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I.各種身体所見の特徴
1.視診・触診/田中信大
2.聴診/室生 卓
3.バイタルサイン/黒木茂広
II.各疾患ごとの身体所見の取り方
1.大動脈弁逆流症/太田光彦 他
2.大動脈弁狭窄症/兵頭永一
3.僧帽弁逆流症/阿部幸雄
4.僧帽弁狭窄症/林田晃寛
5.肥大型心筋症/閉塞性肥大型心筋症/拡張型心筋症/平田久美子 他
6.心不全/有田武史
7.腹部大動脈瘤/福田祥大 他
8.身体所見から鑑別困難な循環器疾患/香坂 俊 他
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