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月刊糖尿病 12年9月号
月刊糖尿病2012年9月号 SOLD OUT

2012年8月20日発売
A4変型判/144頁
価格:本体 2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82040-7
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特集2型糖尿病のインスリン療法
 -日常臨床でベターなコントロールを得るための治療法選択のコツ-

企画編集/弘世貴久
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目次 特集 連載 連載
 約2年前,インクレチン関連薬であるDPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬が臨床使用可能となって,糖尿病の薬物療法の手駒はさらに増加した.ところが,糖尿病合併症による失明,透析導入,足切断に至る患者は,減るどころか増える一方である.
 その原因のひとつとしては,「インスリン導入の遅れ」が考えられる.インクレチン関連薬の登場は多くの糖尿病患者にとっての福音であることは確かだが,そのためにインスリン導入が遅れて,厳格な血糖コントロールを得る機会を逸するのでは困ったものである.一方,アナログインスリンなどの開発に伴い,インスリン治療を手掛けるのが専門医のみならず多くの“糖尿病も診る医師”に広がったことは,この数年間の大きな進歩である.その反面,インスリン製剤の進歩がインスリン治療そのものを多様化・複雑化させてしまっているのも事実である.どのような患者にどのような方法で導入,ステップアップするのかについて,必ずしもコンセンサスがとれているとはいいがたい.専門医が経験や勘に頼るのではなく,誰が行っても当たり外れのないインスリン治療を可能とするための取り組みがきわめて重要であろう.
 そこで本特集では,インスリン治療のエビデンスの紹介は最小限に重要なもののみとし,現場で活躍しながら,さらにインスリン治療のコンセンサス形成につながるような臨床研究をされている専門医の先生方にご執筆いただいた.とくに,超速効型,混合型,持効型溶解のそれぞれのアナログインスリンを用いたインスリン導入の利点と問題点を挙げながら,それぞれのレジメンの対象となるのはいかなるタイプの患者であるか,エビデンス紹介の項で取り上げたインスリンの導入レジメンを比較検討した欧州の4T syudyを日本人に当てはめるとどうなるのか,といった方向性で各先生方に執筆いただいた.また,インスリン治療は,導入するだけでは不十分である.多くの患者は最初のシンプルな導入法だけでは目標血糖コントロールを得られない場合のほうが多く,常にステップアップの準備が必要である.そこで考えられるさまざまな方法,内服薬の追加,レジメンの変更など,詳しく執筆いただいた.また,インスリン治療は「一度始めたら死ぬまで止められない」という,ご存知のとおり患者の間での間違った伝説がある.とくに病歴の短い患者では,インスリンから離脱できることは決してまれではない.しかし,きれいさっぱりインスリンを離脱,止めてしまうのが果たしてベストな選択なのか.これまであまり触れられなかったインスリンの離脱について,“提案”のレベルではあるが,多くの先生方に再考していただいている.最後に,もうひとつの糖尿病の注射薬であるGLP-1受容体作動薬を,これまでのインスリン療法とどのように使い分けるかについても執筆いただく.インスリン療法が,初心者向け,専門医向けに分かれていていいはずがない.
 この特集が,日本人のインスリン療法がよりコンセンサスのとれた治療法となるきっかけになればと,心から願うものである.
弘世貴久
(東邦大学 医学部 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌学分野 教授)
特集にあたって/弘世貴久
I.インスリン導入時のレジメンの選択
1.インスリン導入法のエビデンス/小田原雅人 他
2.欧米のインスリン導入アルゴリズムと日本人への適用の可否/久保田 稔
3.基礎インスリンで始める患者の臨床像と注意点/廣井直樹
4.追加インスリンで始める患者の臨床像と注意点/松久宗英 他
5.混合型インスリンで始める患者の臨床像と注意点/岡田洋右 他
6.basal-bolus 治療で始める患者の臨床像と注意点/池上博司 他

II. インスリン導入後のステップアップとレジメンの変更
1.インスリン治療レジメンのステップアップ/大工原裕之
2.basal-bolus 療法を強化する/田蒔基行

III.経口薬併用の原則
1.総論:経口薬との併用のメリット・デメリット/田中 逸 他
2.各論:インスリン分泌薬(SU 薬,グリニド薬)/谷口晋一
3.各論:インスリン抵抗性改善薬(ビグアナイド薬,チアゾリジン薬)/加来浩平 他
4.各論:α- GI/寺内康夫 他
5.各論:DPP-4 阻害薬/浜口朋也

IV.インスリンからの離脱を考える/臼井州樹 他

V.インスリンと GLP-1 受容体作動薬の使い分け/藤谷与士夫 他

・セルフトレーニング -チェックリスト問題と解答-

連載
・テーラーメイド医療〜糖尿病における現状と展望〜
第4回 2型糖尿病遺伝子解析の最新情報
安田和基

・糖尿病の食事療法
第7回 微量元素と糖尿病
保坂利男