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月刊糖尿病2016年11月号 |
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2016年10月20日発売 A4変型判/112頁
価格:本体2,700円+税 ISBNコード:978-4-287-82089-6
全ページカラー印刷
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特集●糖尿病・うつ・睡眠障害による負のトライアングル
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企画編集/稲葉雅章
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最近,糖尿病と睡眠障害とが相互に悪影響を及ぼす関係にあることが明らかとなった.2型糖尿病患者では肥満症が多いがそれによる睡眠時無呼吸の頻発に加え,糖尿病の血糖コントロール悪化は夜間排尿回数を増加させて睡眠を中断させることで睡眠の質を劣化させることは以前から知られていた.また糖尿病は加齢とともに増加するが睡眠障害も同様の傾向をとるため,高齢者では両者が同一個体に併存する確率が高くなる.したがって,高齢糖尿病患者では大脳皮質を休息させる徐波睡眠を減少させるなど直接的に睡眠の質劣化をきたすことが明らかとなった.また,糖尿病合併症もそれぞれが睡眠障害を独自の機序で増悪させ,糖尿病患者では複合的な睡眠障害を起こすため,それぞれの患者でなにが睡眠障害の主因となっているかを検討することが重要となる.一方,睡眠障害のある患者では肥満や糖尿病発症率の高いことが前向き研究で示されている.これは睡眠障害でみられるACTH・コルチゾール上昇や交感神経緊張による耐糖能障害やインスリン感受性低下などにより血糖コントロール増悪が起こることが関与する.また糖尿病ではうつが2〜3倍健常人と比べて多いが,うつによる睡眠障害・概日リズム障害が生じる.
このように人口の高齢化とともに糖尿病・睡眠障害・うつの増加している状況で,本特集では,「糖尿病・うつ・睡眠障害による負のトライアングル」のテーマの下,これら三者の関係を種々の面から取り上げて,一個体で生じている増悪がなにが主因で起こっているかを日常臨床上,詳細に解析するうえで手掛かりとなるように,それぞれの章でその詳細を述べていただいた.さらに,糖尿病で頻発する睡眠障害を引き起こす睡眠時無呼吸症候群,むずむず脚症候群,周期性四肢運動症候群についても述べていただいた.また,睡眠障害で起こる夜間・早朝高血圧が血管障害の主たるリスクであるため,睡眠障害改善による降圧がこれらリスクを低下させる可能性についても述べていただいた.
本特集は,睡眠障害が糖尿病やその合併症によって起こりやすく,血糖増悪のみならず心血管リスクや合併症の進展に寄与していること,また両者に合併しているうつの有無に注目して患者の診療戦略を立てることの重要性につき,本邦の一線の研究者にわかりやすく最新の知識をおまとめいただけたので,一読いただければこれら分野の概要がわかり,新たな面から深く治療戦略を立案できることができるものと期待している.
稲葉雅章
〔大阪市立大学大学院 医学研究科 代謝内分泌病態内科学(第二内科)教授〕
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Ⅰ.
Ⅱ.
Ⅲ.
Ⅳ.
Ⅴ.
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糖尿病と不眠・抑うつとのかかわり/内村直尚
糖尿病における睡眠障害
1.血糖コントロールと睡眠障害との関係/都井律和
2.糖尿病合併症と睡眠障害との関係
i.糖尿病性ニューロパチーと睡眠障害/鈴木圭輔・鈴木紫布・門脇太郎・櫻本浩隆・平田幸一
ii.腎障害/篠邉龍二郎・小西倫之・塩見利明
iii.糖尿病・睡眠障害・骨関節疾患およびそれに起因する疼痛の相互関連/村瀬公彦・陳 和夫
iiv.高血圧/永井道明・土手慶五・苅尾七臣
v.こむら返り・むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害/水野創一・堀口 淳
3.糖尿病の睡眠時無呼吸症候群/庄司繁市・奥野仙二・稲葉雅章
4.糖尿病のうつ・不安障害とそれらに併存する睡眠障害/内山 真
睡眠障害・うつの糖尿病・身体疾患に及ぼす影響
1.睡眠障害が糖代謝に与える影響とそのメカニズム/山仲勇二郎・本間研一
2.うつの影響メカニズム/清水徹男
糖尿病血糖コントロール改善・合併症防止を目的とした睡眠障害に対する治療戦略/山田真介
睡眠障害に対する薬物処方の実際 〜糖尿病患者を念頭に〜/井上幸紀
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