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月刊糖尿病2016年12月号 |
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2016年11月20日発売 A4変型判/112頁
価格:本体2,700円+税 ISBNコード:978-4-287-82090-2
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特集●DPP-4阻害薬を極める 〜有効性と安全性を踏まえた適正使用に向けて〜
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企画編集/粟田卓也
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シタグリプチンが世界で初めてメキシコで承認されてから10年が経過し,国内では発売されてからまもなく7年となる.DPP-4阻害薬は,国内ではチアゾリジン薬であるピオグリタゾンの発売から10年ぶりの新たな作用機序に基づく経口血糖降下薬であったが,驚異的に売上を伸ばし,またたく間に2型糖尿病患者に最も処方される薬となった.さらに,糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)のデータにみるように,最近の日本人2型糖尿病患者の血糖コントロールの改善にDPP-4阻害薬の出現が大きく寄与しているものと考えられている.
早期からインスリン分泌不全が認められることが多い日本人2型糖尿病患者では,インクレチンの膵島作用により生理的な血糖制御機構を回復させるDPP-4阻害薬は理にかなった治療薬である.また,DPP-4阻害薬は他の経口血糖降下薬と併用しやすく,糖尿病患者でよく見られる腎障害や肝機能異常を伴う症例にも使いやすい.安全性に関しても,発売当初にみられたスルホニル尿素薬との併用による低血糖を除いて,重篤な副作用はほとんど認められていない.
そうした背景のもとに最近の週1回投与のDPP-4阻害薬を含めて9種類のDPP-4阻害薬と2種類の配合薬が国内で使用可能となっているが,それらを有効性と安全性に基づいて種々の病態の患者に適切に使い分けることは必ずしも容易ではない.また,今後明らかにすべきDPP-4阻害薬の課題や疑問点も残っている.糖尿病治療の大きな目標である細小血管障害や動脈硬化症の予防効果のエビデンス,膵疾患(膵炎・膵癌)発症や心不全増悪のリスクの懸念などである.最近では,重篤な関節痛との関連の可能性も米国で指摘されている.さらに,DPP-4阻害薬は緩徐進行1型糖尿病の進展予防に有効である可能性がある.
本特集では,DPP-4阻害薬の有効性と安全性に関する新旧の知見と具体的な処方例を含めたDPP-4阻害薬による治療戦略をエキスパートの先生方にご執筆頂いた.本特集により,糖尿病の治療に革命をもたらしつつあるDPP-4阻害薬を極めて頂ければ幸いである.
粟田卓也
(国際医療福祉大学病院 糖尿病内分泌代謝科 教授・部長)
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DPP-4(Dipeptidyl Peptidase-4)阻害薬開発の歴史/黒瀬 健・清野 裕
DPP-4阻害薬の製剤間の違いと臨床効果/宮川潤一郎
DPP-4阻害薬の膵島作用と膵β細胞保護効果/石原寿光
DPP-4阻害薬の膵外作用と糖尿病合併症抑制の可能性/小田原雅人
DPP-4阻害薬の有効性 〜レスポンダー,ノンレスポンダーと2次無効〜/麻生好正
第一選択薬としてのDPP-4阻害薬の位置づけ/齊木 亮・長坂昌一郎
DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の適切な使い分け/松田昌文
DPP-4阻害薬と他剤の併用療法/森 豊
1型糖尿病,とくに緩徐進行1型糖尿病におけるDPP-4阻害薬の可能性/税所芳史・粟田卓也・保川信行・島田 朗
DPP-4阻害薬の安全性について/原 興一郎・川浪大治・宇都宮一典
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