|
|
月刊糖尿病125号(Vol.12 No.5, 2020) |
|
A4変型判/96頁
価格:本体3,600円+税
ISBNコード:978-4-287-82122-0
全ページカラー印刷
|
|
|
企画編集/田中正巳,伊藤 裕
|
|
|
|
|
画像をクリックするとサンプルをご覧いただけます |
|
|
|
|
糖尿病と高血圧はいずれも代表的な生活習慣病であり,両者の合併は脳心血管病の発症率を著しく高める.そのため糖尿病患者では厳格な降圧が必要であり,日本高血圧学会が策定した『高血圧治療ガイドライン2019』でも日本糖尿病学会が策定した『糖尿病診療ガイドライン2019』でも,糖尿病患者の降圧目標は130/80 mmHg未満に定められている.
現在我が国には約4,300万人の高血圧患者と約1,000万人の糖尿病患者が存在する.両疾患の合併頻度は高いため,我が国には多くの糖尿病合併高血圧患者が存在することになる.これらの患者の年齢,ライフステージ,血管障害の有無,脂質や体重などの管理状況といった背景は多種多様であるため,血圧,血糖の管理にあたっては個々人の状況を勘案した慎重な対応が必要になってくる.
糖尿病合併高血圧に関する知見は日々アップデートされている.その一方で,糖尿病・高血圧治療の基本は食事・運動療法であること,治療の目標は患者の生命予後とQOLの改善であることなどは,ガイドラインが改訂されても変わらない.このような今も昔も変わらない重要事項,そして近年アップデートされた情報を整理して,糖尿病患者の血圧管理に役立てることを目的として本特集を企画した.糖尿病患者の血圧を適切に管理するためには,敵を知る,すなわち糖尿病合併高血圧の特徴を理解することが欠かせない.近年優れた糖尿病薬が続々と登場しているが,食事・運動などの非薬物療法が依然として重要であることは言うまでもない.ガイドライン改訂の際に糖尿病患者の降圧目標は変わらなかったが,第一選択薬には変更があった.新規糖尿病薬の中には降圧効果が報告されているものがある.高血圧の治療目標が脳心血管病の抑制であることを考えれば,脳血管障害,冠動脈疾患の予防を考慮した降圧療法は重要である.CKD,肥満・メタボリックシンドローム,脂質異常症は心血管リスクを高めるため,これらを合併した患者への対応策を理解しておく必要もある.また,我が国は未曾有の超高齢化社会を迎えており,認知機能低下やフレイルなどの老年症候群が問題となる高齢者への配慮は欠かせない.近年高齢出産の増加は顕著であり,妊婦の高齢化に伴い高血圧も(妊娠)糖尿病も増加する.したがってこれらの病態に対する理解も重要である.日本人に適したガイドライン作成のためには日本発のエビデンスを構築することが重要であるが,多くの危険因子を包括的に管理することの重要性を証明したJ-DOIT3は世界に誇るべき臨床研究である.内分泌性高血圧は臓器障害進展のリスクが高いため早期診断,早期治療が重要だとわかっていても,つい見逃してしまいがちである.本特集ではこれらの重要事項について,各分野ご専門の先生方からわかりやすく解説していただいた.今回の特集が,糖尿病を合併した高血圧患者の脳心血管病予防とQOL向上に貢献できることを期待する.
田中正巳,伊藤 裕
(慶應義塾大学 医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科)
|
|
|
|
|
|
1. 高血圧を合併した糖尿病の特徴/片山茂裕
2. 高血圧を合併した糖尿病患者の生活習慣修正/土橋卓也
3. 糖尿病合併高血圧患者の降圧目標/舩越駿介,有馬久富
4. 糖尿病合併高血圧患者の薬剤選択:JSH2019改訂における重要ポイント/
国村彩子,樋室伸顕,藤吉 朗,瀬川裕佳,大西浩文,斎藤重幸
5. 脳血管障害を合併した糖尿病患者の血圧管理/北川一夫
6. 冠動脈疾患を合併した糖尿病患者の血圧管理/岸 拓弥
7. 糖尿病性腎症患者の血圧管理/馬場園哲也
8. 肥満・メタボリックシンドローム合併糖尿病患者の血圧管理/瀬川利恵,石垣 泰
9. 糖尿病合併高血圧患者の脂質管理/長尾元嗣
10. 高齢糖尿病患者の血圧管理/千葉優子
11. 妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠における血圧管理/三戸麻子
12. 糖尿病治療薬の大規模臨床試験成績と降圧効果/大西由希子
13. J-DOIT3から考える血圧管理/笹子敬洋,植木浩二郎
14. 糖尿病を合併した内分泌性高血圧を見逃さない/田辺晶代,橋本真紀子
|
|