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月刊糖尿病 126号
月刊糖尿病130号(Vol.13 No.2 2021)

A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-82127-5

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特集●小児・思春期糖尿病患者の治療と支援

企画編集/菊池 透

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 小児・思春期糖尿病の治療と支援は,成人後の慢性合併症の予防だけでなく,患児が自立した成人になるためにも重要である.また,学校検尿を利用した糖尿病の早期発見や学校教育での食育による肥満・糖尿病予防は,成人の糖尿病予防対策としても重要である.
 小児・思春期糖尿病に関する最近のトピックスは,hybrid closed loop pumpなどのインスリンポンプや較正不要の連続血糖モニターのテクノロジーの進歩,新しい超速効型インスリンや点鼻グルカゴンなど新しい薬剤の登場である.さらに,time in rangeという新しい血糖管理指標も提唱されている.今後は,このような新しい技術や指標をいかに治療に取り入れ,患者の予後,QOLを改善させるかが課題である.このように1型糖尿病の治療技術は進歩しているが,その技術を実際に使うのは患者自身である.技術が進めば進むほど,それを使いこなす高度な知識や動機が必要になる.幼少期は,治療の主体は保護者であるが,思春期になると治療の主体は本人に移っていく.しかし,その時期に,適切な療養行動を継続することは容易なことではない.したがって,将来,成人科へ診療移行することも踏まえ,精神的・社会的に自立するように,学校生活や糖尿病キャンプ,患者会活動での療養行動の支援や仲間作りなどが必要である.
 一方,1型糖尿病に比べて2型糖尿病の治療の進歩は停滞している.成人では多くの新しい薬剤が承認されているが,小児・思春期糖尿病を対象にした薬剤の治験はなかなか進まない.2型糖尿病を発症する肥満小児は,生活習慣の問題のほか,基礎疾患を有している場合も多く,治療や支援がより困難である.しかし,日本には学校糖尿病検診というすばらしいスクリーニングシステムがある.このシステムを有効活用し,2型糖尿病の早期発見,食育の推進による肥満の指導,予防を進めていくことが重要である.
 小児・思春期糖尿病では,新生児糖尿病やMODYなどの単一遺伝子異常による糖尿病がまれではない.近年,それらの研究が進んでおり,正確な診断が治療方針に大きな影響を与えることもある.とくに,非肥満2型糖尿病の診断の際には留意が必要である.
 近年,毎年のように大規模自然災害が発生している.患児家族,医療者,医療機関ともに,大規模自然災害を想定した小児患者に対する種々の備えをするべきである.
 今回の特集にあたり,現在のトピックスと課題をエキスパートの方々に執筆いただいた.本特集が,小児・思春期糖尿病の診療の向上および患児の予後,QOLの改善につながれば幸いである.


菊池 透
(埼玉医科大学 小児科 教授)




1. 血糖管理指標における個人別評価とその課題:グリコアルブミン(GA)
 /ヘモグロビンA1c(A1C)比の活用/武者育麻,雨宮 伸
2. インスリンポンプの進歩/柚山賀彦,川村智行
3. CGMの進歩/志賀健太郎
4. 薬物療法の進歩/鈴木潤一
5. 単一遺伝子異常による糖尿病/奥野美佐子
6. 学校糖尿病検診の有効活用/山本幸代
7. 肥満2型糖尿病へのアプローチ/田久保憲行
8. 心理社会的支援へのアプローチ/大津成之
9. 学校での療養行動の支援/松井克之
10. 糖尿病キャンプと患者会活動/小川洋平
11. 成人科への移行期医療の実際/平井洋生
12. 大規模自然災害へ備える/藤原幾磨