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月刊糖尿病 135号(Vol.13 No.7, 2021) |
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A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-82132-9
全ページカラー印刷
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企画編集/安西慶三
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2014年に本誌で「肝臓に焦点を当てた糖尿病治療」の特集号を企画して,6年が経過した.その特集号ではウイルス肝炎と非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease;NAFLD)・非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis;NASH)の両方を取り上げた.現在ではC型肝炎の治療薬として抗ウイルス薬が飛躍的に充実し,C型肝炎は完治する疾患となり,肝がん死亡の背景肝疾患はウイルス肝炎からNAFLD/NASHに移行した.今まで肝炎・肝硬変・肝がんは肝臓専門医の領域であったが,NAFLD/NASHは肥満関連代謝性疾患群であり,糖尿病患者の中に多く存在することから,糖尿病医が診る機会が増え,肝硬変,肝がんへの進展抑制や適切なタイミングでの肝臓専門医紹介が我々糖尿病医に求められている.さらにNAFLD/NASHは肝がんで死亡に至るまでに動脈硬化が進行し,心血管系疾患や慢性腎臓病(CKD)が発症することも多く,循環器科,腎臓内科との連携が重要である.このことは同時に肝臓専門医がC型肝炎ではほとんど合併しない心血管系疾患や腎疾患の領域を診ることを意味している.
NAFLD/NASHの診断に関しては肝生検における病理診断が確定診断となるが,全国で1,000万人以上いると考えられている患者数では困難であり,スクリーニング検査や線維化が評価できるバイオマーカーや画像診断が求められ,新しい検査法が開発され,エビデンスも積み重ねている.
一方で,NAFLD/NASH治療についてはメタボリックシンドロームが背景にあることから食事療法・運動療法が基礎となっているが,脂肪肝,脂肪肝炎,肝硬変,肝がんの進行に伴ってどのような食事療法・運動療法を行うかについてはエビデンスが十分に確立されていない.さらに薬物療法についてはガイドラインに明示されているチアゾリジンやビタミンE,ACE阻害薬,ARBはエビデンスが認められているが,いまだNAFLD/NASHに適応を有する薬剤はなく,糖尿病治療薬として既存の薬剤であるGLP-1受容体作動薬やSGLT2 阻害薬の効果が報告され,脂肪肝炎から線維化を抑制する効果が期待できる.さらにNAFLD/NASHに対する特異的治療薬の開発が盛んに行われている.最新の薬物療法も生活習慣の改善などの療養指導が基礎にあり,医師だけでなく管理栄養士,看護師,薬剤師,理学療法士など多職種での取り組みが重要であり,今後糖尿病療養指導士や肝炎コーディネータとの協働で治療チームを構築する必要がある.
本企画では,NAFLD/NASHについてステージを考えた診断や治療を,糖尿病医だけでなく肝臓内科,循環器内科,腎臓内科,歯科医,メディカルスタッフなど多方面の医療職に最新の情報をもとにわかりやすく解説する.
安西慶三
(佐賀大学 医学部 肝臓・糖尿病・内分泌内科 教授)
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1. NAFLD/NASHの病因と病態/宮澤 崇,小川佳宏
2.肝線維化に伴う糖尿病/川口 巧,鳥村拓司
3.健診受診者集団におけるNAFLDの疫学/杉山 文,栗栖あけみ,田中純子
4.NAFLDから肝がんまでの診断と経過観察の方法/今城健人,米田正人,中島 淳
5.NAFLDにおける心血管疾患リスク管理/小関正博
6.DKDとNAFLD/吉嶺陽仁,小田耕平,井戸章雄
7.糖尿病合併NAFLDにおける歯周病/畑佐将宏,吉田澄子,片桐さやか,岩田隆紀
8.糖尿病合併NAFLDに対する栄養療法/澤田実佳,窪田直人
9.糖尿病合併NAFLDに対する運動療法/岡田倫明,高橋宏和
10.NAFLDに対する薬物療法の可能性/飛田博史,石原俊治
11.NAFLDにおけるかかりつけ医・糖尿病専門医・肝臓専門医・メディカルスタッフの役割(1)/ 清家正隆
12.NAFLDにおけるかかりつけ医・糖尿病専門医・肝臓専門医・メディカルスタッフの役割(2)/ 永渕美樹,高橋宏和,安西慶三
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