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月刊糖尿病136号(Vol.13 No.8 2021) |
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A4変型判/88頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%) ISBNコード:978-4-287-82133-6
全ページカラー印刷
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特集●糖尿病診療のピットフォール〜二次性糖尿病の診断と治療〜
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企画編集/柳瀬敏彦
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日々,多くの2型糖尿病患者を診療していると,私自身,ついつい惰性と思い込みに陥りがちである.忙しさにかまけて高血糖に何か別の原因が隠れている可能性をあまり詮索しなくなる.ある意味,「clinical inertia」である.その意味で,本企画の内容も反省と自戒の気持ちを込めて構成した.
二次性糖尿病の定義は明確ではないが,一般的なイメージは「他の病気や薬剤など後天的な要因によって起こり,場合によっては可逆的な糖尿病」と思われる.また,これらの疾患,病態は2型糖尿病の増悪や治療抵抗性の要因にもなりうる.例外はあるが,二次性糖尿病は早期の原因治療により糖尿病が軽快,症例によっては治癒する場合がある.医療者側も二次性糖尿病であることに気づいていない場合もあり,往々にして糖尿病診療のピットフォールになっている.本企画では,遺伝子要因によるトピックスをやや少な目にして,後天的要因のほうに重点を置いた.
痩せた糖尿病患者さんに遭遇した場合,1型糖尿病だけでなく,膵性糖尿病や脂肪萎縮性糖尿病を思い浮かべることは重要である.前者では飲酒歴やコレステロール低値が,後者では高度のインスリン抵抗性が疑うきっかけとなる.また,比較的,遭遇機会の多い肝障害を伴う糖尿病,とくに肝硬変の場合は,空腹時低血糖や食後高血糖をきたしやすく,病態の理解が適切な対処につながる.NAFLDからの肝がん発症にも注意が必要である.疑わないと気づかないのが内分泌性糖尿病である.サブクリニカルを含めたクッシング症候群,原発性アルドステロン症,褐色細胞腫,先端巨大症は,適切な治療によるホルモン
過剰の是正で糖尿病を含むさまざまな病態の改善が期待できる.また,近年,GH分泌不全症,男子性腺機能低下症など,ホルモンの過少病態による肥満,糖尿病などの
代謝異常も明らかになってきた.ステロイド糖尿病は,コンサルテーションも多い病態であり,その臨床的特徴の把握は専門医には欠かせない.また,最近の第二世代抗精神病薬には肥満や糖尿病の発症リスクを高めるものが増えてきた.免疫チェックポイント阻害薬の1型糖尿病発症リスクについては,かなり啓蒙が進んできた.糖尿病の急激な発症や増悪に遭遇した際に,病診・院内連携の観点からも,これらの薬剤の知識と病態の理解は,必要不可欠な時代となっている.
ご多忙のなか,ご執筆いただいたエキスパートの先生方のおかげで,この分野の最新情報が余すことなくカバーされた大変充実した内容となっている.皆様の糖尿病診療の「気づき」のきっかけとなれば幸甚である.
柳瀬敏彦
(誠和会田病院 院長)
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1. 膵性糖尿病/新名雄介,伊藤鉄英
2.肝疾患に伴う糖尿病(肝性糖尿病)/岸川まり子,安西慶三
3.クッシング・サブクリニカルクッシング症候群に伴う糖尿病/方波見卓行
4.下垂体疾患と糖代謝異常-先端巨大症/成人GH分泌不全症/高橋 裕
5.原発性アルドステロン症と糖尿病/明比祐子
6.褐色細胞腫と糖尿病/阿部一朗
7.甲状腺疾患と糖代謝/西嶋由衣,村上 司
8.男性性腺機能低下症と糖尿病/田邉真紀人,川浪大治
9.外因性ステロイド投与時の糖尿病管理/森田浩之
10.抗精神病薬と糖尿病/本間健一郎,益崎裕章
11.免疫チェックポイント阻害薬と糖尿病/橘 恵,今川彰久
12.脂肪萎縮性糖尿病/海老原 健
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