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月刊糖尿病 142号
月刊糖尿病142号(Vol.14 No.2 2022)

A4変型判/80頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-82139-8

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特集●これからのWithコロナ時代の糖尿病診療

企画編集/山﨑真裕

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 2019年末に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が世界で初めて報告され,我が国においても 2020年 1月に初めての患者の報告後,世界でのパンデミック,我が国の社会における感染予防対策,新しい生活様式,医療における対応など,われわれは大きな影響を受けた.新しい生活様式は,人流を減らし,三密(密集,密接,密閉)の回避を求められ,生活と密接にかかわる糖尿病療養は大きな影響を受けることとなった.生活行動の変化は活動量の変化,食行動の変化につながり個々の血糖コントロールに影響を及ぼした.COVID-19の重症化因子として肥満や糖尿病などの持病がいわれ,日々流れる不安をあおるようなテレビやネット経由の情報は患者の不安を高め,それだけでなく仕事や人間関係の変化は生活していくことそのものにも不安を感じることもあり,精神的ストレスの増大は不眠などの生活リズムへの影響や,直接的に血糖コントロールにも影響したと考えられる.また私たちが行ってきた糖尿病診療,療養指導,療養支援は患者-医療者関係といわれる人と人との人間関係を基本としており,対面で行う診察,フットケアを含めた療養相談,栄養指導,集団糖尿病教室,患者会活動といった診療そのものが制限されるなかで治療を行うことがどのような結果をもたらすのか不安を感じながら,新しい診療様式を模索してきた.
 一時はある一定期間を耐え忍べば,もとの生活様式に戻ることができるという思いで,この新しい生活様式に合わせた特別対応として工夫をしながら診療を行ってきたが,ワクチン接種が進み,根本的な治療薬の出現を待つ状況がすでに2年になる.今までとは違う様式が続くことはストレスとなるが,違うことを試すことで見えてくることもあった..Afterコロナを目指していた困難を感じる時期は過ぎ,Withコロナの新しい様式を日常にして発展させていく未来に目を向ける時期である.
 今回の特集では,まず現時点で分かっているCOVID-19の最新の情報,知識の整理を行ったうえで,糖尿病との関連,COVID-19治療における血糖コントロールの現場の状況を取り上げる.そしてコロナ禍において制限された療養支援の工夫を病院,診療所においてどのように行っているのかの共有をし,参考にしたい.また糖尿病療養の基本となる運動療法,食事療法のコロナ禍における注意点の学びから今行っている治療をよりよいものとし,さらにはすでに現在行われている「withコロナ時代」に活用するべき診療方式の未来を知る機会としたい.
 もちろん糖尿病診療において,患者-医療者関係の基礎となる人間関係の重要性は変わることはない.しかしコロナ禍を経験したことで未来にもっていくべきもの,削ぎ落すべきもの,形を変えなければいけないものなどが見えてきた.「これからのWithコロナ時代の糖尿病診療」をそれぞれがそれぞれの場所で行っていく未来に思いを馳せる機会にしていただければ幸せである.

山﨑真裕
(京都第二赤十字病院 糖尿病内分泌・膠原病内科 副部長)

1.新型コロナウイルス感染症の最前線/大曲貴夫
2.新型コロナウイルスと糖尿病の関係/牛込恵美,福井道明
3.入院新型コロナ感染症患者の血糖コントロール/濵口真英
4.病院における糖尿病療養支援の工夫/久松 香
5.診療所における糖尿病療養支援の工夫/水野美華
6.コロナ禍での運動指導/石井美穂
7.コロナ禍における食事療法の注意点/松岡幸代
8.Withコロナにおける薬局での対策/岡田 浩
9.Withコロナにおける診療所での糖尿病診療対策/
  原島伸一,鳥飼和美,板橋莉佳,原島知恵,西村亜希子

10.Withコロナだからこそのチーム医療/井上 瑛,安西慶三