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月刊糖尿病 別冊 糖尿病治療薬ハンドブック
月刊糖尿病別冊 インクレチン療法

2012年6月5日発売
A4変型判/192頁
価格:本体6,900円+税
ISBNコード:978-4-287-82903-5
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企画編集/稲垣暢也
京都大学大学院 医学研究科 糖尿病・栄養内科学 教授,
京都大学医学部附属病院 副病院長
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目次 1章 2章 3章
巻頭言:インクレチン治療で何が変わったか
 2009年末に,日本で初めて臨床の現場にDPP-4阻害薬のシタグリプチンが登場して以来,すでに2年以上が経つ.その間に,DPP-4阻害薬については,ビルダグリプチン,アログリプチン,リナグリプチンが,GLP-1受容体作動薬については,リラグルチド,エキセナチドが登場したことによって,インクレチン関連薬は臨床の現場において急速に普及し,糖尿病の治療は大きく変わりつつある.最近の日本糖尿病学会における発表をみても,インクレチン関連の演題が著しく増加しており,インクレチンに対する関心がいかに高いかをうかがい知ることができる.その理由として,インクレチン関連薬が低血糖を起こさない薬剤であるうえに,その他にもさまざまな利点を併せ持っていること,そしてなによりも,臨床の現場においてその効果を多くの医師が実感しているためであろう.
 ところが一方で,インクレチンに関してはまだ不明な点も多い.またインクレチン関連薬の効果は患者によって随分差がある.インクレチンがどのように腸管から分泌され,いかにしてインスリン分泌を刺激するのか.そもそもGIPとGLP-1はどう異なるのか,膵外作用にはどのようなものがあり,インクレチン関連薬を使用したときに生体内ではどのようなことが起きているのか,膵β細胞の保護作用は本当にあるのかなど,インクレチンの研究は興味が尽きない.インクレチン関連薬を実際に処方して生じる疑問については,「I.インクレチンの基礎と臨床」で,最新の治験を盛り込んでわかりやすく解説している.
 一方で,これまで数多くの患者にDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬が処方され,日本においてもそれらの経験が蓄積されてきた.インクレチン関連薬を単独で処方する場合,あるいは他の糖尿病治療薬と併用する場合は,どのような効果が期待され,どのような注意が必要か,DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬をどのように使い分け,いつから導入すべきか,安全性はどうか,インスリンからの切り替えは可能かなど,臨床の現場における疑問は絶えない.
 本誌では,「II.インクレチンを用いた治療」において,より実践的な最新の情報を盛り込んでいる.さらに,現在進行中のGLP-1受容体作動薬の週1回投与製剤や,肥満減量手術とインクレチンの関係などの話題についても,「III.インクレチンをターゲットとした新しい治療の可能性」において紹介している.
 本誌は,各分野の第一人者の先生方にご執筆いただいている.ご多忙にもかかわらずご執筆いただいた諸先生に感謝を申し上げるとともに,インクレチン関連薬が爆発的に普及した今日においてこそ,本誌が読者のインクレチンに関する理解をさらに深め,糖尿病診療に真に役立つものと確信する.
I.インクレチンの基礎と臨床
1.GIPとGLP-1の作用の違い/中林 肇 他
2.インクレチン関連薬による膵β細胞保護作用への期待/綿田裕孝 他
3.インクレチン関連薬の心血管系に及ぼす作用/前川 聡
4.GIPの肥満への影響/原田範雄 他
5.GIP の骨に対する作用/山田祐一郎
6.インクレチン分泌のメカニズム/羽田勝計 他


II.インクレチンを用いた治療
1.インクレチン関連薬単独療法の有効性
 1)DPP-4阻害薬単独療法/岩本安彦
 2)GLP-1受容体作動薬単独療法/宮川潤一郎 他
2.インクレチン関連薬併用療法の有効性
 1)SU薬との併用/原島伸一
 2)ビグアナイド薬との併用/田中 逸 他
 3)チアゾリジン薬との併用/門脇 孝 他
 4)α-グルコシダーゼ阻害薬との併用/成田琢磨
3.インクレチン関連薬のポジショニング
 1)DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の使い分け/荒木栄一 他
 2)DPP-4阻害薬の導入の時期と方法/柏木厚典 他
 3)GLP-1受容体作動薬の導入の時期と方法/谷澤幸生 他
4.インクレチン関連薬の体重に及ぼす作用/武田 純 他
5.インクレチン関連薬のグルカゴン分泌抑制作用の重要性/石原寿光 他
6.インクレチン関連薬を用いるときの注意点
 1)インクレチンとSU薬の併用による低血糖/藤本新平 他
 2)インスリンからインクレチン関連薬への切り替えのポイント/井上 元
 3)インクレチン関連薬の安全性/植木浩二郎 他

III.インクレチンをターゲットとした新しい治療の可能性
1.Once weekly製剤の可能性/加来浩平 他
2.減量手術とインクレチン/笠間和典 他


訂正文
本誌月刊糖尿病別冊「インクレチン療法」(別冊Series 3)において,
以下の箇所に誤りがありましたので訂正いたします.

p108 の表1 上から7 行目
(誤)「シタグリプチンはインスリン併用×」


                 ↓↓↓

(正)「シタグリプチンはインスリン併用○」


皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます.