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透析スタッフ 2015年第1号 |
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14年12月10日発売 A4変型判 112頁 価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-75008-7
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特集●透析患者さんが薬と上手に付き合うために
−「なぜ必要なのか」「なぜ禁忌なのか」服薬アドヒアランス向上のためにできることは?−
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企画編集/長谷弘記
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薬剤を安全かつ有効に投与するには,薬剤の血中濃度が変動することを十分に理解する必要があります。それには,薬剤の吸収,体内分布,代謝,排泄を考えなければいけません。透析患者さんでは腎機能が高度に障害されていますので,薬剤自体,あるいは代謝産物が腎臓から排泄される薬剤を服用した場合,血中濃度が上昇して中毒性副作用が発現する可能性が高くなります。そこで,今回は「透析患者さんが薬と上手に付き合うために」と題して,透析患者さんが服用するのに適した薬剤,あるいは服用に注意を要する薬剤にはどのようなものがあるのかを読者の皆様に理解して頂き,その知識が即座に活かすことができることを念頭に置いて本特集を企画いたしました。
本邦において透析治療が一般化して既に40年間の歴史がありますが,透析患者さんを対象とした薬剤使用に関しては,熊本大学薬学部教授である平田純生先生の著者が数冊あるに過ぎませんでした。そこで,私を含めた24名のワーキンググループが4年間の歳月をかけて作成した「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」が日本透析医学会より2011年5月に刊行され,循環器分野における薬剤使用の基本が示されました。その概略を示すと,①LDL-CやNon-HDL-C低下治療にはスタチンが有用であるが本邦で使用可能なフィブラート薬は禁忌であること,②降圧剤としてはレニン・アンジオテンシン系阻害薬またはβ遮断薬を中心とすること,③心不全治療としてもレニン・アンジオテンシン系阻害薬またはβ遮断薬を中心とし,ジギタリス使用には問題があること,④心房細動治療にはワルファリンやアスピリンを使用しないこと,⑤心房細動治療はレートコントロール目的でβ遮断薬または非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬を用いること,⑥アミオダロンを含めた抗不整脈薬を使用する場合には血中濃度度測定や心電図検査を定期的に行うこと,⑦MRIを行う場合にはガドリニウム造影剤を用いないこと,⑧経口糖尿病治療薬の使用上の注意点,などが示されています。
しかし,透析患者さんにより一般的に使用される,カリウム吸収抑制薬,リン吸収抑制薬,活性型ビタミンD,抗尿酸薬などの使用方法や注意点に関しての理解は未だ十分とは言えません。そこで,これら循環器系薬剤,脂質代謝異常治療薬,糖尿病治療薬,造影剤などに加えて,造血剤やサプリメント使用の問題点など,より広い分野における薬剤使用に関しての知識が得られるように特集を組みました。読者の皆様には,明日からの透析治療に役立てて頂きたいと願っています。
長谷弘記
東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科
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特集
①薬物動態概論
A.健康成人における薬物動態 茂野健司
B.透析患者における薬物動態 浦田元樹
②治療に用いる薬剤
A.カリウム抑制薬 田中友里
B.リン抑制薬 角田隆俊
C.降圧剤 守矢英和,小林修三
D.活性型ビタミンD 辻本吉広,庄司哲雄
E.造血剤 平川陽亮,大瀬貴元,南学正臣
F.尿酸降下薬 西川 元,大野岩男,細谷龍男
③合併症に用いる薬剤
A.冠動脈疾患 常喜信彦
B.PAD(末梢動脈疾患) 熊田佳孝
C.脳血管障害 鶴屋和彦 D.心不全 長谷弘記
④OTC薬・サプリメントの活用と注意点 三浦裕子,稲熊大城
⑤服薬行動支援に向けた看護師の役割 嶋貫久美子
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