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WOC Nursing 17年11月号
A4変型判
2017年11月発行
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-73048-5
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特集下肢潰瘍・壊疽患者の栄養サポート
企画編集/宮澤 靖(社会医療法人近森会 近森病院 臨床栄養部長)
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 近年の生活習慣病の増加に伴い,糖尿病やこれを合併した動脈硬化性疾患が増加しており,下肢の動脈硬化すなわち末梢動脈疾患も例外ではありません。このなかで,安静時痙痛や潰瘍・壊死といった,より重篤な病態は重症虚血肢と呼ばれ,下腿切断や大腿切断に至ることがあり,著しいQOLの低下を招いてしまいます。フットケアと栄養サポートは重症虚血肢を大切断から回避するための重要な,あるいは補助的手段としての役割を担っているといえます。
 下腿潰瘍・壊疽を生じる原因はさまざまありますが,糖尿病患者に生じる足潰瘍・壊疽は予後が悪く,難治性となります。糖尿病患者が生涯で足潰瘍を生じる可能性は25%であり,その半分以上が感染し,そのうち20〜65%は骨髄炎に進行すると報告されています。また,下肢の骨・軟部組織感染を生じる確率は健常者の10倍高く,感染を生じると切断になる危険性は40倍高いという報告もあります。糖尿病に伴う透析患者数も増加し,高度石灰化による重症下肢虚血(critical limb ischemia;CLI)となった場合には,さらに複雑な病態となります。
 適切な治療をおこなうためには,足潰瘍を生じている病因を追求し,それによりどのような状態に陥っているかを判断することが重要です。そして何より予防・治療の基本になるのが「栄養サポート」です。下肢では静脈,動脈,神経は,組織中でそれぞれの近傍位置を走行しています。動脈硬化症によって神経栄養血管の血流不全があれば,神経障害が進行します。また,神経障害によって血管運動調節障害が発生すれば,血管の収縮・弛緩反応に影響を与えることが予測されます。したがって単一の原因を探るのではなく,何が病像の主因であるかを,およそ見きわめることが大事です。多くの症例では病変部に感染を認めますが,それはなんらかの創傷に2次的に感染したものが多数を占めます。栄養サポートが充実すれば,患者自身の免疫力が向上し,感染を軽減・回避することが期待できます。しかしながら,栄養サポートチームが多くの施設で構築されてきたとはいえ,十分な体制で,必要な患者すべてに対し,的確な栄養サポートが提供されている施設が少ないのも現状です。
 本特集では「下肢潰瘍・壊疽患者の栄養サポート」というタイトルに基づき,この分野で臨床活動を積極的におこなっている専門の先生方から,病態と治療,フットケアを実践しての予防法やケア,各種栄養素の投与量設定から選択方法や施設での実践例に至る観点で概説をしていただきます。看護師(WOC)の皆さんが臨床現場でお使いになるテクニック,知識の向上の一助になれば幸いです。
宮澤 靖
社会医療法人近森会 近森病院 臨床栄養部長
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下肢潰瘍・壊疽患者の栄養サポートの必要性/宮澤 靖
下肢潰瘍・壊疽患者の病態と治療/守矢英和,小林修三
フットケアの重要性と看護/愛甲美穂
下肢潰瘍・壊疽患者のたんぱく質の設定/佐保洸太
下肢潰瘍・壊疽患者のエネルギーの設定/宮島 功
下肢潰瘍・壊疽患者のビタミン,微量元素の設定/森 茂雄,中島里奈,鈴木祥子,橋本 賢
下肢潰瘍・壊疽患者の水分量の設定/佐藤亮介
下肢潰瘍・壊疽患者に効果的な特殊アミノ酸/泉 麻衣
下肢潰瘍と薬/橋田能明
〔お知らせ〕
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