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WOC Nursing 22年1月号
A4変型判
2022年4月発行
定価2,640円(本体2,400円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-73098-0
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特集褥瘡の手術療法と周術期ケア
企画編集/田中克己(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 形成再建外科学 教授)
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 現在,褥瘡に対しては多職種連携のなかで総合的なケアが行われています。その原因は,もとより創部の状態だけではなく,その背景や環境に応じて,DESIGN-Rなどの評価とともに治癒後の再発予防に至るまで,さまざまな取り組みが必要となります。
 一方,局所治療に目を向けると,外用薬や創傷被覆材の進歩,陰圧閉鎖療法の開発,各種の体圧分散用具などの使用により,保存治療が効果的に行われています。そのなかで褥瘡に対する手術療法はどのような立場にあるのでしょうか。どうしても手術そのものだけが目立ち,ともすれば手術術式や手術直後の結果だけが強調されてしまい,周術期ケアを含めた患者の全体像から離れてしまいがちです。
 日本褥瘡学会は2005年に「科学的根拠に基づく褥瘡局所治療ガイドライン」を発表し,その後,「褥瘡予防・管理ガイドライン」となり,今年度には最新,最良のエビデンスに基づいて第5版が公開されました。残念ながら現時点では,褥瘡のトータルケアのなかでの手術療法はエビデンスに基づいた明確な指標を持つ治療法までには至っていませんが,臨床的な高い効果は誰もが疑うことのないものです。
 褥瘡のトータルケアが行われるまでは,褥瘡の手術とは創を閉鎖することが主な目的のことが多く,どのような組織を移植するのがよいか,皮弁と筋皮弁のどちらがよいのか,といった手術方法に議論が集中していました。その後,患者の背景や全身状態に応じて,外科的治療の適応と無理のない治療計画を考えることの重要性が報告されるようになりました。さらに,細やかな周術期管理や再発予防のための患者・家族への指導も大切な内容として行われており,現在に至っています。
 そこで今回の特集号では,「褥瘡の手術療法と周術期ケア」として,褥瘡患者に対する手術療法に着目しました。第一線で活躍中の方々に,褥瘡における手術療法の役割に始まり,手術に向けての栄養管理,手術における全身管理,wound bed preparationを中心とした局所管理,また,各部位における具体的な手術法と術後管理,そして術後のリハビリテーション,スキンケア,社会復帰へのサポートなどについてもわかりやすく解説していただきました。
 褥瘡手術を取りまく環境を正しく理解することは,患者の生活状況を変え,早期の社会復帰へ導くとともに,家族の負担を減らし,また,医療経済的にも有益な状況につながるものと考えられます。

田中克己
長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 形成再建外科学 教授
1. 褥瘡治療における手術療法の役割/大浦紀彦,屋宜佑利香,竹江雄貴,清水 翼,吉村美音,帯刀朋代,木下幹雄
2. 褥瘡手術のためのwound bed preparation/森内由季,田中克己
3. 仙骨部の褥瘡手術と周術期管理/石川昌一
4. 坐骨部の褥瘡手術と周術期管理/安倍吉郎,橋本一郎
5. 大転子部・踵の褥瘡手術と周術期管理/桒水流健二,榊原俊介,里岡由希,沖本友絵,政岡浩輔,辻 依子
6. 褥瘡手術における全身管理/池田佳奈枝,江副京理
7. 褥瘡手術における栄養管理/芳野憲司
8. 周術期褥瘡対策〜褥瘡手術の周術期管理〜/吉村美音,二ッ橋未来,大浦紀彦
9. 褥瘡手術患者のスキンケア/室岡陽子
10. 当院における褥瘡手術患者のリハビリテーション/森田智之
11. 褥瘡手術後の日常生活復帰/佐藤智也