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月刊糖尿病 13年5月号
月刊糖尿病2013年5月号 SOLD OUT

2013年4月22日発売
A4変型判/112頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-82048-3
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特集1●PAD治療の最前線
企画編集/中村正人
特集2●カーボカウントの理論と実際,ならびにその新たな展開
企画編集/石田 均

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目次[PDF 特集[PDF 特集[PDF 連載[PDF
特集1●PAD治療の最前線
 PADは生活習慣,食生活の変化により疾病構造が大きく変化した疾患の代表例である.バージャー病は激減し,粥状硬化を基盤とする閉塞性動脈硬化症が主因となった.本疾患の3大リスク因子は年齢,糖尿病,喫煙であり,高齢化を迎えた日本においてもpopularな疾患となっている.しかし,間歇性跛行を呈する人は少ないため,PADが正確に診断されているとはいいがたい.さらに,無症候であっても生命予後は症候を有する人と同様に不良であるため,早期の的確な診断が重要にもかかわらず,現状はこの認識も不十分である.また,治療,とくに全身管理における薬物療法が不十分であると指摘されている.このような事実を踏まえ,本特集の前半では診断および薬物療法に焦点を当てて解説していただいた.
 後半では,侵襲的治療に焦点を当てて解説していただいた.本疾患に対する血管内治療は著しい進歩を遂げており,コンセンサスドキュメントであるTASCⅡ分類も近日中に改定されると聞いている.EVTは低侵襲であることが最大のメリットだが,今日どのような治療戦略が実践されているか,病変部位からみた場合の外科治療のメリットはどこにあるか,について言及していただいた.
 最後,創傷管理の項では,この病態をどのように考え,治療方針を立てていくかについて解説していただいた.糖尿病は重症虚血肢における最大のリスク因子である.最近筆者らが実施したOlive registryでも,72 %が糖尿病患者であった.また,糖尿病患者では間歇性跛行から必ずしも段階的に症状が進行するわけではなく,初発症状が重症下肢虚血であることも少なくない.さらに,感染が関与すると“time is tissue”と呼ばれ,下肢救済は時間との争いとなる.本特集では,updateな内容,明日の臨床で生かせる内容をキーワードに解説していただいた.
中村正人
(東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科 教授)
特集2●カーボカウントの理論と実際,ならびにその新たな展開
 糖尿病の食事療法は,いかなる症例でも必ず実施すべき「基本的療法」である.栄養素のなかの炭水化物(その大部分は食物繊維を差し引いた糖質)は,一般的に食事の総エネルギーの50〜60 %程度を占め,かつ消化管での消化・吸収も早いことから,他の栄養素と比べて食後血糖値に大きな影響を及ぼす.すなわち,食事のなかに含まれる糖質量をあらかじめ正確に知ること(カーボカウント)ができれば,食後の血糖値上昇の度合いをある程度予測することが可能となる.そして,食後の血糖値の安定化,さらにはインスリン療法中の症例における製剤の選択や,使用単位数の決定がより容易になると考えられる.また,食事中の糖質量に応じてインスリン分泌を促進させて食後の血糖値上昇を生理的に制御するというインクレチンの作用は,見方を変えれば私たちの身体において内因性に携わったカーボカウントの機構とみなすことも可能である.
 さらに,多くの糖尿病症例では,この作用が健常人に比べて減弱していることから,摂取した糖質量に見合うだけのインスリンが分泌されず,食事中の糖質量の変化による影響をより受けやすいことが報告されている.しかし,この方法の一種の悪用によって,極端な糖質制限へと走ることのないように留意することも,糖尿病に基づく合併症の発症や進展を防ぐ面から必要である.この機会にカーボカウントの考え方について,その理論や基づく根拠,そして利点や欠点,あるいは是か非かという視点を整理し,さらには糖質制限食にまつわる現状と問題点を洗い出すことを試みる.そして,1型ならびに2型糖尿病,またトピックスとしてとりあげた妊娠中の糖代謝異常の症例の食事療法を指導し,そのなかでカーボカウントを実践するにあたり,これらの臨床的意義も含めて,読者の皆さまとともに,糖尿病治療における位置づけを今一度問い直してみたい.
石田 均
(杏林大学 医学部 第三内科,同大学院 医学研究科
糖尿病・内分泌・代謝内科 教授)
特集1●PAD治療の最前線
特集にあたって/中村正人
1.PAD診断のトピックス/安斎 均
2.PADの薬物治療/緒方信彦
3.PADに対するEVT/宮本 明
4.PADに対する外科治療/山岡輝年
5.重症下肢虚血に対する神戸分類と創傷管理/寺師浩人 他

特集2●カーボカウントの理論と実際,ならびにその新たな展開
特集にあたって/石田 均
1.カーボカウントの理論とその根拠/高橋和眞
2.カーボカウントの利点と欠点/丸山千寿子
3.糖質制限食をめぐって/黒田暁生 他
4.1型糖尿病とカーボカウント/川村智行
5.2型糖尿病とカーボカウント/藤本浩毅 他
6.食品交換表とカーボカウント/幣 憲一郎
7.トピックス:妊娠中の糖代謝異常とカーボカウント/髙橋久子

連載
・糖尿病に合併する感染症
第38回 化学療法3(真菌感染症)
松本哲哉