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月刊糖尿病 18年10月号
月刊糖尿病2018年10月号

A4変型判/96頁
価格:本体3,200円+税
ISBNコード:978-4-287-82109-1

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特集●健康長寿のための高齢者糖尿病のトータルマネジメント

企画編集/横野浩一
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 21世紀の本邦は世界に類をみない超少子高齢人口減少社会を迎えている.持続する小児人口の減少に伴い生産者人口は激減の一路をたどっている.一方で高齢者世代は多数を占めるが,昔のような三世代同居は望むべくもなく,高齢者夫婦の二人あるいは独居世帯が増加している.そのため高齢者を心身ともに支えるキーパーソンが不在となり,高齢者夫婦がお互いを支える,いわゆる老々介護が増加している.
 高齢者がこの難局を乗り切るためには健康長寿を目指さなければならない.今や日本人の平均寿命はほぼ世界のトップに位置する.一方で,健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる健康寿命も日本は世界一とされている.しかし問題は平均寿命と健康寿命の間に男女平均して約10年の期間があることである.この間が本人もつらく,家族が時間と労力を割き,国が資源を投入せざるを得ない不健康な期間ということになる.したがって,この10年という期間をできるだけ短縮することが肝要である.
 そのためには健康長寿の延伸を妨げる要因を制御する必要がある.身体面では骨格筋の量と質が低下するサルコペニアを予防する必要がある.サルコペニアは高齢者の身体活動を抑制し,転倒・骨折・寝たきり・認知症という,高齢者にとって最も好ましくない経緯の引き金となる.精神・心理面では認知症の予防であり,社会・経済面では孤立を防ぐことが重要といわれる.そして平均寿命と健康寿命の間の10年間に該当するフレイルの予防と改善が,活き活きとした高齢社会を過ごすための大きな手立てとなる.
 糖尿病そのものが健康長寿を脅かす最大の疾患の1つであることはいうまでもないが,最近その原因として糖尿病とこれらのサルコペニア,認知症,フレイルとの関連が注目され,数多くのエビデンスが集積されてきた.本特集ではこれらの問題に焦点を当てながら,高齢者糖尿病のトータルマネジメントの重要性につき各分野の第一人者の先生方に執筆をお願いした.

横野浩一
(北播磨総合医療センター 病院長)



1. 超高齢社会における糖尿病と健康長寿/井藤英喜
2. 高齢者糖尿病の特性からみた血糖コントロール目標/羽田勝計
3. 高齢者糖尿病における低血糖の特徴とその予防に向けて/福田正博
4. 糖尿病とサルコペニア/梅垣宏行・葛谷雅文
5. 高齢者糖尿病とフレイル/谷川隆久・荒井秀典
6. 高齢者糖尿病におけるアルツハイマー病の発症機構と病態特性
  〜脳インスリンシグナル関与の可能性〜/田口明子・櫻井 孝
7. 糖尿病性認知症の発症機構と病態特性/羽生春夫
8. 高齢者糖尿病における『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015』の使い方/大浦美弥・秋下雅弘
9. 高齢者糖尿病の血圧管理/鷹見洋一
10. 高齢者糖尿病の脂質管理/木庭新治
11. 高齢者糖尿病のトータルマネジメントのための地域包括ケアシステム/飯島勝矢
12. J-EDITからみた高齢者糖尿病のトータルマネジメント/荒木 厚