(1) 透析導入時の合併症対策
尿毒症状態で導入すると,多かれ少なかれ起こる導入時の不均衡症候群の原因と対策について解説していただきます。
(2) 透析患者の循環器合併症
導入初期になぜ心筋梗塞,不整脈が多いのかについて解説していただきます。
(3) 透析患者の骨・関節合併症
透析アミロイドーシスは長期透析合併症ですが,導入時からその対策をとることが肝要です。また,高齢化に伴い導入時に骨・関節合併症をすでに持っている患者も多いので,保存期からの骨・関節合併症管理について解説していただきます。
(4) 透析患者の感染症
透析患者の死亡原因は,透析導入初期でも長期透析患者でも感染症が第2位であり,近年増加傾向にあります。感染症に対する対策は予後改善に必須です。
(5) 透析患者の脳血管障害
透析患者の高齢化に伴い,導入前から脳出血,脳梗塞の後遺症に苦しむ患者も多くなっています。さらに透析導入後も増加しています。それらの対策と予防法を解説していただきます。
(6) 透析患者の脂質代謝異常
糖尿病性腎症による透析導入患者が増加しており,透析導入時からの高脂血症に対する対策は,予後改善に寄与するのか解説していただきます。
(7) 透析患者の末梢動脈合併症
糖尿病性腎症による透析導入患者の増加は,糖尿病性足壊疽の問題を私たちに投げかけています。透析導入初期からのフットケアが下肢切断を予防できる唯一の方法であり,その重要性を解説していただきます。
(8) 透析患者の高血圧
透析患者の高血圧の発生機序は複雑ですが,その管理は長期透析合併症の発生予防に必須です。同時に,透析間体重増加は高血圧を引き起こします。DW設定の設定法についても解説していただきます。
(9) 透析患者の低血圧
透析療法では,透析間に貯留した水分を除去することが重要な目的です。しかし,短時間での大量の除水は当然血圧低下を起こします。透析中の血圧低下は,日常臨床で遭遇する大きな問題です。
(10) 透析患者の皮膚科的合併症
透析患者では,皮膚掻痒症は必発の問題で,透析導入前から患者を悩ませます。皮膚のケアを含めて皮膚のかゆみに対する対策を解説していただきます。
(11) 透析患者の精神・心理的問題
透析に導入するということは,その患者さんにとってはとても大きな問題であり,透析導入時には多くの患者がうつ状態になります。そのような患者にどのように対応したらよいかを解説していただきます。
(12) 透析医療事故と対策
透析医療は体外循環です。透析療法がはじめられたころには,透析は手術室で行われていました。透析療法には,透析針の穿刺,血液回路からの出血・血液凝固,感染など医療事故を起こす可能性のある工程が多数内在しています。過去の事例を踏まえて透析医療における事故とその対策について解説していただきます。
田部井 薫(たべい かおる)
自治医科大学附属さいたま医療センター 腎臓科 教授
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