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BRAIN 2012年6月号 SOLD OUT
12年5月15日発売
A4変型判
価格:本体¥2000+税
ISBNコード:978-4-287-85010-7
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特集“なんとなく”はもう卒業! 今日からわかる神経所見のとり方

企画編集/鈴木則宏・清水利彦(慶應義塾大学医学部 神経内科)
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目次 特集 連載 連載
 外来に意識障害,物が二重に見える,めまい,しゃべりにくい,片側の手足の動きが悪い,手足がしびれる,体のバランスが悪い,頭痛などを主訴とした患者さんが来院したとします。すると,神経内科や脳外科の医師は胸腹部などの一般身体所見についての診察をしたあと,眼底鏡,ハンマー,筆,音叉など他の診療科の医師が用いない道具で顔面,四肢,体幹などを診察します。神経所見とは,これらの診察用具を用いながら意識状態,脳神経,運動および感覚機能などについて神経学的診察を行い,得られた所見のことです。神経は大脳から脳幹,脊髄,末梢神経に至り,神経筋接合部を経て筋肉につながっています。神経所見で異常を認めた場合,これらの神経系のどこが障害されているのかを探し当てる,いわゆる「病巣診断」を行います。たとえば,足に力が入らないことを主訴に患者さんが来院した場合,その病巣が神経なのか筋肉なのかで原因となる病気がまったく違いますし,当然治療法も異なってきます。神経所見が大切な理由は,得られた所見から病巣診断を行うためであり,さらに病巣により原因となる神経疾患が異なるためでもあります。
 このように神経所見は非常に大切な意義を有していますが,診察の方法については「なんとなくわかっているが,細かいところまではどうも」という方も少なくないのではないでしょうか。そこで,今回は特集として「神経所見のとり方」をとりあげました。
 この特集号では神経学的診察方法を,1. 意識状態の診察,2. 高次機能の診察,3. 脳神経症状の診察,4. 運動系の診察,5. 反射の診察,6. 感覚障害の診察,7. 小脳症状の診察,8. 髄膜刺激症状の診察,の8つに分類し,神経所見のとり方について解説しました。さらに各項目のなかで,脳梗塞急性期の血栓溶解療法の際に行うNIH脳卒中重症度スケール(NIHSS)の評価に必要な診察の仕方などについても解説し,最後に付録としてNIHSSを記載しました。
 「意識状態の診察」では, NIHSS評価項目にも含まれる意識レベル,質問に対する反応,命令への反応についての診察の方法を記載するとともに,無動性無言,失外套症候群,閉じ込め症候群,せん妄など特殊な意識障害についての説明も加えました。またNIHSS評価項目の言語および無視が含まれる「高次機能の診察」の項目では,失語,失行および失認を中心にそれらの診察法を述べています。さらにNIHSS評価項目でも視野,注視,顔面麻痺,構音障害などが含まれる「脳神経症状の診察」では,IからXIIの脳神経についてそれぞれの診察方法が記載されています。「運動系の診察」にはNIHSS評価項目のなかの左右腕,左右脚の運動が含まれますが,さらに筋トーヌス,筋肉の診察,筋力のみかた,不随意運動,歩行などについても解説しています。この他,NIHSS評価項目の感覚および運動失調についてはそれぞれ「感覚障害の診察」および「小脳症状の診察」で説明しました。読者の皆さんには,この特集をお読みいただき,神経所見の理解に役立てていただくことを期待しています。
鈴木則宏・清水利彦
(慶應義塾大学医学部 神経内科)
特集
1. 意識状態の診察 /吉崎崇仁
2. 高次機能の診察:失語,失行,失認 /伊東大介
3. 脳神経症状の診察(1):IからVIの脳神経 /安富大祐
4. 脳神経症状の診(2):VIIからXIIの脳神経 /柴田 護
5. 運動系の診察(1):筋トーヌス,筋萎縮,筋力 /二瓶義廣
6. 運動系の診察(2):不随意運動 /関 守信
7. 運動系の診察(3):歩行・その他 /関 守信
8. 反射の診察 /鈴木重明
9. 感覚障害の診察 /伊藤義彰
10. 小脳症状の診察 /清水利彦
11. 髄膜刺激症状の診察 /清水利彦
付録. NIH stroke scale /清水利彦

連載
・ニューロナースの疑問に答える! 脳神経疾患画像診断レクチャー
 第8回 髄膜腫/聴神経鞘腫
 執筆●前田正幸 企画●土屋一洋
・エッセイ●こころとからだ
 第3回 心の旅
 内田 都
・主要症例で学ぶ ナースが知りたい! 脳神経外科疾患の病態・治療・術後ケア
 第10回 びまん性脳損傷に対する脳圧センサー留置術
 執筆●氏福健太・山下和範 企画●林 健太郎

その他
・「第21回 日本意識障害学会」のお知らせ