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BRAIN 2013年第2号
13年2月15日発売
A4変型判
価格:本体¥2000+税
ISBNコード:978-4-287-85016-9
全ページカラー印刷

特集正しい知識で患者と自分を守る! 脳神経外科でよくみる感染症の予防と管理〜感染症のキホンからICT・Standard Precaution まで〜

企画編集/小林繁樹
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目次[PDF 特集[PDF 連載[PDF 連載[PDF
 「脳は感染に弱い臓器」であり,脳の感染症はすべて緊急事態です。脳をとりまく脳脊髄液には感染に対抗する物質は存在していませんし,血液と脳細胞の間には血液脳関門(blood-brain barrier;BBB)があるために,抗菌薬などの薬も病巣に届きにくい構造になっています。このような理由から,脳の感染症はしばしば重症化してしまうわけです。
 脳の感染症には,本来の感染症としての髄膜炎や脳炎,脳膿瘍などばかりでなく,開放性の頭部外傷などによって二次的に起こる感染症もありますし,また手術後に手術創やドレーンなどを介して起こる治療合併症としての感染症もあります。これらのなかで,とくに術後感染については,医師やナースの不適切な操作や患者管理が原因となることがほとんどですし,何よりせっかく原疾患の難しい手術が成功したのに,その後の術後感染で患者の容体が悪化する,あるいは後遺症を残してしまうのは,あまりにも残念です。
 さて,中枢神経系の感染症の原因となるものには,一般細菌,ウイルス,結核菌,真菌,原虫などさまざまな微生物がありますし,数年前に問題となったプリオン病である狂牛病,クロイツフェルト・ヤコブ病のような特殊な感染症もあります。また,他の臓器の感染症と同様に,多剤耐性菌の存在,免疫抑制療法やAIDS患者の増加による日和見感染など,以前にはあまり注目されなかったような新たな問題が多数出現していることは,脳神経外科領域でもまったく同様です。
 以上のような観点から,脳神経外科疾患看護において,感染症に対する正しい知識を持ち,その治療ならびに予防のスキルを身につけることはとくに重要であると考えて,この特集は企画されました。
 本特集では「脳神経外科でよくみる感染症」を,
(1)中枢神経系に発生する本来の感染性疾患
(2)治療や他の疾病の合併症として発生する中枢神経系感染症
に分けて知識を整理し,さらに褥瘡や呼吸器感染症などのように,
(3)脳疾患による意識障害などによって生じる全身の感染性疾患
について,代表的事例を紹介しながら解説します。
 また,最近注目されているICT(Infection Control Team)やStandard Precaution について紹介し,その意義についての理解を深めます。
小林繁樹
(千葉県救急医療センター センター長)
特集
1. 概説/小林繁樹
2. 中枢神経系の感染性疾患(1)髄膜炎・脳炎/相川光広
3. 中枢神経系の感染性疾患(2)脳膿瘍/桝田宏輔
4. 中枢神経系の感染性疾患(3)硬膜下膿瘍/桝田宏輔
5. 二次的に発生する中枢神経系感染症(1)術後感染症/大塚モエミ
6. 二次的に発生する中枢神経系感染症(2)外傷後感染症〜頭部外傷の感染症対策/箱崎恵理
7. 脳神経外科疾患に随伴する全身感染症(1)
  呼吸器感染症〜中枢神経障害に随伴する呼吸器感染症について/ 小安麻子
8. 脳神経外科疾患に随伴する全身感染症(2)尿路感染症/菅沢直美
9. 脳神経外科疾患に随伴する全身感染症(3)
  褥瘡〜感染褥瘡にしないために,感染褥瘡を治癒に持っていくために/鈴木由加
10. 感染症対策の標準化とチームでの対応(1)ICT(Infection Control Team)の概要と役割/花岡勅行
11. 感染症対策の標準化とチームでの対応(2)Standard Precaution の重要性/岩田浩幸

連載
・ニューロナースの疑問に答える! 脳神経疾患画像診断レクチャー
 第14回 脱髄疾患
 執筆●藤川 章 企画●土屋一洋
・エッセイ●こころとからだ
 第9回 得意なこと≠やりたいこと
 内田 都
・主要症例で学ぶ ナースが知りたい! 脳神経外科疾患の病態・治療・術後ケア
 第15回 グリオーマ(神経膠腫)
 執筆●鎌田健作 企画●林 健太郎