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WOC Nursing 19年4月号
A4変型判
2019年4月発行
価格:本体2,400円+税
ISBNコード:978-4-287-73065-2
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特集貼付剤の適切な貼り方−スキントラブルをどう回避するか−
企画編集/大井一弥(鈴鹿医療科学大学 薬学部 教授)
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 皮膚は角層を最外層にして,表皮,真皮,皮下組織によって構造を形成する人体最大の臓器です。角層は,身体を覆う皮膚組織であり,身体が保持する水分の喪失と異物の侵入を防いでいます。一般的に年齢が若いと皮膚に潤いがありますが,加齢とともに皮膚は乾燥しやすくなります。そのためスキンケアは,男女問わずその重要度は高まっています。
 さて,日本はこれまでに経験したことのない超高齢社会の最中にあります。高齢者は,薬の服用時に嚥下の問題が生じやすいことが知られており,そのため簡便に使用できる貼付剤のニーズが高まっています。貼付剤は,製剤中の薬物が角層を透過し体内に移行して効果を発揮します。薬物の角層への移行に影響を与える因子としては,皮膚からの水分喪失量,角層水分量,皮膚pH,体温などがあります。また,貼付剤の皮膚との親和性,貼付剤の主成分の皮膚中への拡散,さらには貼付剤の皮膚への粘着性などが影響をもたらします。つまり,貼付剤の主成分が何の障壁もなく皮膚に移行し,皮膚障害の発生がなければ,安全性が保たれているということになります。しかし,皮膚は生体バリアとしての機能があり,貼付剤に対してデリケートな反応を示すことも経験的に知られています。たとえば,貼付剤によって皮膚の表面に強い力が連続してかかることでできる水ぶくれは,貼付部位の端部にできやすく,貼付剤を強く引っ張って貼付したときに貼付剤が元に戻ろうとする力や,肘や膝などの屈曲部にかかる力が原因となります。また,貼付剤を剥がす際には,角層も一部剥がれるために,同じ部位で剥離を繰り返すと,角層の剥離が多くなり,皮膚が赤くなったり痛みを生じたりします。また貼付剤の成分や添加成分による皮膚障害として,接触皮膚炎があります。さらに,テープ剤の原材料に含まれる化学物質や,テープ剤を貼付する前に皮膚に付着・接触していた物質が,皮膚中に浸透して引き起こされる皮膚炎では,紅斑,水疱,かゆみ,疼痛などの症状が現れます。アレルギー性接触皮膚炎は,テープ剤の原材料に含まれる化学物質にアレルギー反応を起こして生じる皮膚炎です。特定の原因物質(アレルゲン)に接触したことのある感作の成立した人がアレルゲンに再度接触することによって発症し,貼付剤貼付後12〜48 時間にかゆみを伴った紅斑,浮腫,丘疹,小水疱などの症状が現れます。このような状態で,乾燥皮膚が加わるとかゆみの出現が多くなり,適切な処置が必要となります。アレルゲンなどの異物がその炎症部位に侵入するとさらにかゆみが増強し,炎症や感染を助長してしまいます。現在では,貼付剤の名称は局所作用型に限定され,全身血流によって器官に薬物が送達され,薬効を発揮する外用薬は経皮吸収型製剤として分類されています。その治療薬には,喘息治療薬,狭心症治療薬,認知症治療薬,高血圧治療薬,更年期治療薬,禁煙補助剤などラインナップが増えている現状です。
 このような状況から,スキンケアの技術を取り入れなくては,貼付剤貼付のトラブルをなくすことは難しく,今回は,そのスキルを得るための特集といたします。

大井一弥
鈴鹿医療科学大学 薬学部 教授

1. 皮膚の構造と機能/徳留嘉寛
2. 皮膚症状の違いについて/磯貝善蔵
3. 貼付剤の種類と特性について/井上直子
4. 保湿剤の塗り方/大谷道輝
5. スキンケアの方法/吉田和枝
6. 急性期患者における貼付剤の使用法/柴田ゆうか,松尾裕彰
7. スキントラブルと外用療法/生島繁樹
8. 外来での貼付剤使用のトラブルとスキンケア/永江浩史
9. 小児の貼付剤とスキンケア/松本康弘
10. 褥瘡やストーマ周囲におけるスキントラブルと回避/鈴木美奈子