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MEDICINAL11月号
MEDICINAL11月号

11年10月25日発売
A4変型判
価格:本体¥2500+税
ISBNコード:978-4-287-84002-3
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特集生活習慣病関連骨粗鬆症の病態と管理・治療戦略

企画編集/杉本 利嗣
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目次 特集
 生活習慣病と骨粗鬆症には,罹病患者数の多さ,酸化ストレスが重要な病因であること,また予防の重要性が力説されていることなど,多くの類似点がある.治療目的も,心血管イベントおよび骨折の防止とそれぞれ明確化されており,これらはQOL低下の防止や,寝たきり患者増大の防止にもつながることから,まさに生活習慣病と骨粗鬆症はプライマリケア診療の2本柱といえる.
 従来,骨粗鬆症と動脈硬化・血管石灰化は併存しやすいことはよく知られている.そしてこれは加齢に伴う単なる併存ではなく密接な関連性があり,骨・血管相関と称され,その分子機構に関する研究が進展している.臨床的にも心血管イベントの危険因子として骨粗鬆症の存在が挙げられている.さらに最近,動脈硬化症の代表的な原因疾患である糖尿病,脂質異常症,高血圧そして慢性腎臓病(CKD)などの生活習慣病と骨代謝にも双方向性の関連性が存在することが注目されている.
 実際,コントロール不良な2型糖尿病やステージ3程度の軽症〜中等症のCKD例では骨密度は維持されているにもかかわらず骨折リスクが高い,すなわち骨質劣化型の骨脆弱化をきたすことは世界的なコンセンサスが得られている.また脂質異常症や高血圧例においても骨折リスクが高いこと,そしてこの骨脆弱化機序に関する基礎研究の成績も報告されてきている.このようなデータの蓄積により,まもなく発刊予定の骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年改訂版では,生活習慣病関連骨粗鬆症が続発性骨粗鬆症をきたす代表例に位置付けられることとなっている.一方,生活習慣病における骨脆弱性亢進機序として,活性酸素産生亢進による酸化ストレスの増大による終末糖化産物の骨基質への蓄積や骨細胞・骨芽細胞のアポトーシスの亢進,骨芽細胞分化の抑制などが挙げられている.そして現在,生活習慣病における骨質劣化を評価する骨質関連マーカーの探索やその治療法に関する研究が進められている.また治療薬の観点から,生活習慣病治療薬と骨粗鬆症治療薬がそれぞれ骨代謝と動脈硬化/脂質代謝にも影響を及ぼすことが明らかとなってきている.このような現状をふまえて,日本骨粗鬆症学会では生活習慣病診療における骨折リスクの評価と骨の健康維持を推進するための診療ガイド(生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド)を本年3月に発刊し,また本年11月に開催される日本骨粗鬆症学会でも多領域の先生方に骨の健康の重要性を認知していただくことを目指している.
 一方,骨代謝とエネルギー代謝には双方向性の関係が存在する可能性が注目されている.すなわちエネルギー代謝調節に重要な役割を担うレプチンやアディポネクチンが骨代謝を調節する一方で,骨芽細胞が産生するオステオカルシンがインスリンの分泌や感受性などの調節に関与し,血糖値の調節や脂肪の蓄積,さらには脂質代謝,動脈硬化などを制御している可能性がある.さらに骨芽細胞におけるインスリンシグナルが骨由来のホルモンであるオステカルシンを活性化することにより糖・エネルギー代謝を調節し,骨代謝とエネルギー代謝には正のフィードフォワードループが存在する可能性も示唆されている.このように骨も標的臓器のみならずホルモン産生臓器としても機能し,他臓器を調節しうることが明らかとなってきており,臓器連関の観点からもこの領域の研究は脚光を浴びてきているといえる.
 以上をふまえて,本特集では基礎,臨床の両面から日本のこの領域のエキスパートの先生方に生活習慣病関連骨粗鬆症の病態と管理・治療戦略をテーマに執筆していただいた.本特集が骨粗鬆症を含めた生活習慣病診療の一助となれば幸いである.
杉本 利嗣
(島根大学医学部 内科学講座 内科学第一)
特集
1.骨血管相関/大内 尉義
2.酸化ストレスと骨代謝/竹内 靖博
3.高血圧と骨粗鬆症/森下 竜一
4.エネルギー代謝調節分子と骨代謝/吉澤 達也
5.エネルギー代謝と骨代謝の双方向性の関連/金沢 一平
6.骨折危険因子からみた生活習慣病/藤原佐枝子
7.遺伝要因からみた生活習慣病と骨粗鬆症の関連/細井 孝之
8.糖尿病と骨折リスク/岡崎 亮
9.脂質異常症・動脈硬化症と骨折リスク/稲葉 雅章
10.慢性腎臓病と骨折リスク/今西 康雄
11.治療薬からみた生活習慣病と骨粗鬆症の関連/鈴木 敦詞
12.生活習慣病関連骨粗鬆症における骨折リスクを予測する候補マーカー/白木 正孝
13.生活習慣病関連骨粗鬆症の食事療法/上西 一弘
14.生活習慣病における骨質劣化機序とその治療戦略 -候補治療薬-/斎藤 充
15.生活習慣病関連骨粗鬆症に対する薬物治療開始の考え方/山口 徹