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MEDICINAL4月号
MEDICINAL 2012年8月号

2012年7月25日発売
A4変型判/120頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-84011-5
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特集骨粗鬆症治療薬のbreakthrough
   -ガイドライン2011年版を踏まえて-

企画編集/中村利孝
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目次 特集 特集 特集
 日本でビスホスホネート,SERMなど骨粗鬆症における骨折防止効果のエビデンスのある薬物が使用されるようになって10年が経過した.欧米ではすでに5年前から大腿骨近位部骨折の発生率は低下傾向を示し,日本でも,年齢別発生率では60〜70歳代での発生率は低下する傾向が確認されてきた.
 しかし,日本では高齢者人口の著しい増加とともに,80〜90歳代の大腿骨近位部骨折の増加により,発生数はなお増加しつつある.また,最近の調査結果では,日本の40歳以上の男女1280万人(男性300万人,女性980万人)が骨粗鬆症であると推計され,年間発生率は男性で0.6%,女性で2.3%に達している.潜在する骨折リスク増加例を積極的に見つけ出し適切な治療により骨折リスクを低下させるには,医療関係者だけでなく社会全体としての取り組みがますます必要である.
 この10年,骨粗鬆症と骨強度低下の関係が整理され,骨密度により定義される骨粗鬆症と骨強度低下にもとづく骨折リスク増加状態に関する臨床研究が進んだ.世界保健機関(WHO)のFRAXに見られるように,個人の骨折リスクを定量的に評価する指標が提示できるようになってきた.骨折リスク低下を目的とした薬物治療対象者の選択は,個人の骨折リスク値とともに,社会経済的な費用対効果の観点から検討することも可能となりつつある.
 骨粗鬆症の病態研究も大きな展開を見せている.加齢に伴って増大する骨脆弱性は,性ホルモンの消失とともに,酸化ストレスの増加が骨折リスク増加の大きな要因として理解されはじめた.実際,心血管障害,動脈硬化,高血圧,糖尿病,脂質異常症,そして慢性腎臓病などのいわゆる酸化ストレスと関連する生活習慣病と骨脆弱性との相互作用という枠組みも検討されるようになった.さらに,全身のエネルギー代謝との関連での骨の細胞機能の分析も進められている.骨強度低下による骨脆弱化は「性ホルモンとカルシウム」を中心とした骨固有のメカニズムに依存するだけでなく,全身の細胞における物質代謝が連動した一連のホメオスタシスとその破綻という観点でとらえる時期に来ているようにも見える.まさに,パラダイムの転換点にさしかかりつつある.
 このような骨粗鬆症と骨脆弱化に関する臨床的および基礎的知見の集積ととともに,骨粗鬆症治療薬の種類と数も増加した.ビタミンDの必要性が再認識されるとともに,エストロゲンの役割も明確になってきた.ビスホスホネートは複数の間欠服用剤が利用できるようになり,骨折防止のエビデンスはますます強化されてきた.まれな合併症についての情報も集まってきた.活性型ビタミンDとその新規誘導体,新しいSERMなども登場してきた.さらに,骨形成促進剤であるテリパラチドの使用も可能になった.骨粗鬆症治療薬の選択は併用療法を含めて,多様化によるテーラーメイドの時代を迎えている.
 このような状況の中で,2011年12月に『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版』が刊行された.このガイドラインは,21世紀の最初の10年のstate-of-artといってよい.本特集では,新しい2011年版ガイドラインに沿って,これからの10年の骨粗鬆症診療を見通すことができる内容を企画した.骨粗鬆症診療に従事する医師および医療関係者,さらには健康関連産業に従事する方々を含め,多くの皆様のお役にたつものと思っている.
中村利孝
(産業医科大学 整形外科 教授)
特集:骨粗鬆症治療薬のbreakthrough -ガイドライン2011年版を踏まえて-
1.骨粗鬆症の診断と手順/杉本利嗣 他
2.骨粗鬆症の骨折リスクと薬物治療の開始/宗圓 聰
3.生活習慣病における骨粗鬆症とその対策/山口 徹
4.飲酒・喫煙習慣と骨粗鬆症/稲葉雅章
5.骨折リスク評価の実際とFRAX(R)/細井孝之
6.骨粗鬆症治療におけるビタミンDとカルシウム/白木正孝
7.骨粗鬆症治療におけるエストロゲンの役割/水沼英樹
8.SERMの効果と使用上の注意点/斎藤 充
9.ビスホスホネート使用の長期効果と安全性/岩本 潤 他
10.ビスホスホネート治療における合併症と対策/萩野 浩
11.活性型ビタミンD3とエルデカルシトール/竹内靖博
12.併用療法の意義と実際/森 諭史
13.テリパラチドの適応と効果/遠藤直人
14.テリパラチド治療における骨吸収抑制剤の役割/酒井昭典

連載
・聞きたい!気になる新薬
企画:北田 光一
第4回:高血圧配合薬「ミカムロ(R)配合錠AP」/石井 晃