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MEDICINAL1月号
MEDICINAL 2012年1月号

2012年12月26日発売
A4変型判/112頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-84004-7
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特集降圧薬による脳・心・腎連関の治療作戦

企画編集/伊藤 貞嘉
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目次 特集 特集 特集
 全世界の死亡に寄与する危険因子として最も大きいのは高血圧であり,次に喫煙,高コレステロール血症と続く.日本における高血圧患者数は4000万人,全国民の3人に1人にのぼる.高血圧は脳卒中・心疾患・腎不全の重要な危険因子であり,その適切な管理は日本の最も重要な保健・医療の課題であるといえよう.実際,国民の収縮期圧が平均で2mmHg下がっただけで循環器疾患による死亡患者は2万1千人以上減少すると推計されている.
 現代は人口の高齢化,肥満,糖尿病や脂質異常症を有する患者の増加などに伴い,合併症を有する高血圧患者が多くなっている.また,単一臓器に限局する障害を持つ患者はまれであり,程度の違いこそあれ,1人の患者が脳・心・腎などの多臓器にわたる障害を有することは珍しくない.このような患者を適切に管理するためには,臓器連関の機序の理解が欠かせない.
 脳・心・腎の間には密接で,かつ,精巧な機能的連関がある.この連関をつかさどる機序は,細胞外液,すなわち,内部環境(milieu interieur)の恒常性と循環の維持にきわめて重要な役割を果たしている.しかし,いったん,脳,心,腎のいずれが傷害されると,これらの臓器連関の機序は単に機能不全に陥るのみならず,互いの臓器を傷つけあう負の連鎖を形成する.このような多臓器連関の機序を理解するとともに,その患者における主要疾患の検査や治療などが,他の臓器に与える影響を理解することはきわめて重要である.
 過去30〜40年における降圧療法の進歩には目覚しいものがあった.降圧効果に優れた薬剤が次々と開発され,降圧自体は以前と比べて容易になった.また,各種薬剤の薬理作用や特徴を考慮して,よりきめ細かい管理も可能となってきている.とくに,多臓器疾患を有する患者においては,血圧レベルのみならず,各臓器に特異的な問題を考えるとともに,脳・心・腎の臓器関連を考慮することが,患者のトータルケアに欠かせない.本企画では,脳・心・腎連関に注目した降圧療法をそれぞれの専門の先生から解説していただいた.実地医家の診療の診療に役立てば幸甚である.
伊藤 貞嘉
(東北大学大学院 医学系研究科 腎・高血圧・内分泌学分野 教授)
特集
1.脳・心・腎連関の疫学と機序/伊藤 貞嘉
2.脳・心・腎連関を断つ降圧薬療法の原則と臨床指標/石光 俊彦 他
3.脳・心・腎連関を断つ降圧薬療法:脳血管疾患(含む認知症)/内山真一郎 他
4.脳・心・腎連関を断つ降圧薬療法:冠動脈疾患,心肥大/南野 徹 他
5.脳・心・腎連関を断つ降圧薬療法:心不全/柴 信行 他
6.脳・心・腎連関を断つ降圧薬療法:不整脈/百村 伸一 他
7.脳・心・腎連関を断つ降圧薬療法:慢性腎臓病/木村玄次郎 他
8.脳・心・腎連関を断つ降圧薬療法:糖尿病/荒木 信一
9.脳・心・腎連関を断つ降圧薬療法:末梢動脈疾患/森本 聡 他
10.血圧の日内変動の制御と臓器保護/苅尾 七臣 他
11.利尿薬と心・腎連関/有馬 秀二 他
12.レニン阻害薬への期待/市原 淳弘