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MEDICINAL4月号
MEDICINAL 2012年9月号

2012年8月27日発売
A4変型判/128頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-84012-2
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特集生活習慣病と認知症 〜負の連鎖を断ち切るために〜

企画編集/朝田 隆
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目次 特集 特集 特集
 日本の地域医療の方向性は,最近まで4疾病5事業という行政用語に集約されてきたが,近頃,4疾病に精神疾患が加わり5疾病5事業となった.精神疾患のなかでも患者数200万人以上とされる認知症は,単独でも従来の4疾病のどれよりも患者数が多い.今後も患者数の増加が続くだけに,地域医療における認知症の重要性はさらに増すだろう.
認知症の原因疾患は多岐にわたる.脳血管性認知症(vascular dementia;VD),レビー小体型認知症,ピック病を代表とする前頭側頭型認知症などがある.しかし,アルツハイマー型認知症(Alzheimer's disease;AD)とVDが大多数を占めており,両者の深い相互関係が生活習慣病という観点から注目されるようになった.たとえば,晩発性の認知症としてADが最も多いといわれるが,病理学的にはADとVDの混在したものが最多だという事実がある.つまり,ADとしての病理があると脳血管性病変を招きやすい,逆に脳血管性病変の存在がADの病理であるアミロイドβや神経原線維変化の基盤になるのかもしれない.そこで本特集では,生活習慣病という観点からADを中心に認知症性疾患の最前線を紹介する.
 まず,疫学の観点から認知症の危険因子としての生活習慣病について清原先生に御執筆いただいた.とくに高血圧,糖尿病,高脂血症を中心にした生活習慣病と認知症の関係を疫学的にレビューしていただいた.ADとVDをつなぐ主要因としての高血圧については,まず森下先生にその双方向性の悪影響における高血圧の関わりをお書きいただいた.荒井啓行先生には,降圧薬の認知症防御効果に注目して主に欧米でなされた降圧薬の大規模治験をご紹介いただいた.さらに動脈硬化は,下門先生にADとVDの双方向性をふまえて動脈硬化から認知症に至るメカニズムを解説いただいた.治療面では,神崎先生に認知症の危険因子としての動脈硬化,また内科的・外科的治療とその効果についてお書きいただいた.これまで高脂血症はある種の認知症の危険因子とされてきた.しかし,この問題はAPOEの影響もあるとされ,単純ではない.そこで総説的な解説を安野先生にお願いした.荒井秀典先生には,従来の高脂血症薬の大規模治験で得られた知見を中心にご紹介いただいた.糖尿病はADの重要な危険因子であり,インスリン抵抗性はとくにAD関係因子のうちでも大きい.想定されるメカニズムを里先生にご解説いただいた.また血糖制御ホルモンが認知症発症に及ぼす影響にも注目が集まっている.高柳先生には,このテーマを解説していただいた.実際の臨床の場面では,糖尿病とその合併症としてのADはきわめてありふれた病態と思われる.両者の合併がもつ意義を,羽生先生に概説いただいた.さらにメタボリック症候群と認知症の関係も注目され,また以前からADは痩せと関係するともいわれてきた.こうした観点も含めて窪田先生にお書きいただいた.
 最後に予防,治療面では,田中先生に運動による認知症予防や治療の疫学的知見をご紹介いただき,効果発現メカニズムにも言及していただいた.食生活による認知症と生活習慣病への対応について,橋本先生に疫学的な知見とω-3不飽和脂肪酸を中心とする最近の知見をご紹介いただいた.内村先生には,睡眠と生活習慣病について近年の臨床的な知見を概説いただいたうえで認知症との関係にも言及していただいた.以上のよう生活習慣病という観点から認知症性疾患の基礎・臨床研究の最前線を紹介する本特集が読者諸氏のお役に立つことをお祈りする.
朝田 隆
(筑波大学 医学医療系 臨床医学域 精神医学 教授)
特集:生活習慣病と認知症 〜負の連鎖を断ち切るために〜
1.疫学の観点からみる認知症危険因子としての生活習慣病/清原 裕
2.高血圧
1)成因/森下竜一 他
2)知見/荒井啓行 他
3.動脈硬化
1)成因/下門顕太郎
2)知見/神崎恒一 他
4.高脂血症
1)成因/安野史彦
2)知見/荒井秀典
5.糖尿病
1)インスリン抵抗性/里 直行
2)血糖制御ホルモン/高柳涼一 他
3)糖尿病性認知症の臨床と治療/羽生春夫
6.メタボリックシンドロームと認知症/窪田直人 他
7.運動による認知症と生活習慣病への対応/田中喜代次 他
8.食生活による認知症と生活習慣病の予防/橋本道男
9.睡眠と生活習慣病/内村直尚

連載
・聞きたい!気になる新薬
企画:北田 光一
第5回:
選択的セロトニン再取り込み阻害薬エスシタロプラムシュウ酸塩「レクサプロ(R)錠 10 mg」/田邉知己