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MEDICINAL4月号
MEDICINAL 2012年5月号

2012年4月25日発売
A4変型判/144頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-84008-5
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特集アルツハイマー型認知症治療薬の新時代

企画編集/中村 祐
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目次 特集 特集 特集
 日本は現在急速に高齢化が進んでおり,2035年ごろには極軽度なものまで含めると認知症に罹患している実数は500万人に達すると予想されている.この数値は将来の介護能力をはるかに凌駕すると考えられ,認知症の予防法と治療法を開発することは喫緊の問題である.しかし,現在のところ有力な予防法はなく,また,根本的に認知症を治療する薬剤の開発も道半ばであり,むしろ,認知症の発症を促進するといわれている高血圧・糖尿病などの生活習慣病や高齢者のうつ病は増加の一途を辿っている.
 現在の認知症患者の実数は,すでに300万人に達しているのではないかと考えられており,認知症の治療は将来の問題ではなく,現時点でも大きな臨床上の問題である.根本的に認知症を治療する薬剤がまったくない現状では,認知症への対応の基本はケアを中心とするものであるが,ケア,環境調整,リハビリテーションなどの非薬物的な療法には当然のことながら限界があり,薬物療法は大きな一助になると考えられる.
 しかし,2011年初めまで,日本には抗認知症薬として使用できる薬剤はドネペジルしかなく,主に4剤(他にメマンチン,ガランタミン,リバスチグミン)が使用可能である海外の状況と大きく乖離していた.また,認知症の周辺症状であるBPSDを適応とする薬剤はまったくない状況である.このような状況の中,メマンチン,ガランタミン,リバスチグミンの臨床開発が行われてきたが,認知症を数量的に臨床評価することは大変難しく,開発は難渋していた.2011年に入り,ようやく相次いで承認され,2011年7月にはドネペジルを含めて4剤すべてが使用可能となり,日本は海外と同レベルの治療環境を得たこととなった.
 メマンチン,ガランタミン,リバスチグミンは,ドネペジルと大きく異なる化学物質であり,異なる薬理作用を発揮する.メマンチンはNMDA受容体拮抗薬であり,アセチルコリンの分解を阻害することを主作用とするコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル,ガランタミン,リバスチグミン)と薬効メカニズムはまったく異なる薬剤であり,コリンエステラーゼ阻害薬との併用療法が認められている.また,ガランタミンは,アセチルコリンエステラーゼ阻害作用に加えニコチン性アセチルコリン受容体に対するアロステリック作用がある.また,リバスチグミンは,アセチルコリンエステラーゼ阻害作用に加えて,ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用を合わせ持っている.このように,新しく登場した3剤は,従来のドネペジルとは大きく異なり,臨床上違った効果を発揮するものと期待される.
 しかし,これらの3剤は販売が開始されてから,幾ばくも経っておらず,また,投薬日数制限も解除されていないことから,臨床的な経験値は極度に不足しているのが現状である.この時点で,経験値の多い専門家の方々に,ドネペジルを含めて4剤の特徴について概説していただくことは,今後の認知症治療を組み立てて行く上で大変貴重な機会ではないかと思われる.合わせて,全く適応のないBPSDの治療の分野における実際的な対応と今後の展望について概説していただくことにより,認知症薬物治療全体を俯瞰できるものと期待する.本企画が,読者の方々の実臨床に役立つものと祈念して巻頭言としたい.
中村 祐
(香川大学医学部 精神神経医学講座 教授)
特集:アルツハイマー型認知症治療薬の新時代
1部:抗認知症4薬剤を知る
1.ドネペジルの基礎と特徴/繁田雅弘 他
2.ドネペジルの臨床(使い方と留意点)/川畑信也
3.ガランタミンの基礎と特徴/下濱 俊
4.ガランタミンの臨床(使い方と留意点)/真田順子
5.リバスチグミンの基礎と特徴/鍋島俊隆
6.リバスチグミンの臨床(使い方と留意点)/門司 晃
7.メマンチンの基礎と特徴/北村 伸
8.メマンチンの臨床(使い方と留意点)/和田健二 他

2部:抗認知症4薬剤の位置づけ
1.認知症の重症度分類と抗認知症4薬剤の位置づけ/中村 祐
2.認知症の症状に応じた抗認知症4薬剤の位置づけ/片山禎夫

3部:BPSD薬物治療の実際
1.不穏,興奮,攻撃性の薬物治療/粟田主一
2.睡眠障害の薬物治療/清水徹男
3.BPSD治療における漢方薬の応用/水上勝義

4部:今後の抗認知症薬
1.今後開発が待たれる根本的認知症治療/藤本陽子

連載
・聞きたい!気になる新薬
企画:北田 光一
第2回:プロトンポンプ阻害薬 エソメプラゾールマグネシウム水和物「ネキシウム(R)カプセル10 mg・20 mg」/松島 徹