HOME雑誌MEDICINAL > MEDICINAL12年7月号
MEDICINAL4月号
MEDICINAL 2012年7月号 SOLD OUT

2012年6月25日発売
A4変型判/120頁
価格:本体2,500円+税
ISBNコード:978-4-287-84010-8
全ページカラー印刷

特集高尿酸血症・痛風治療における新たな時代の幕開け

企画編集/細谷龍男
画像をクリックするとサンプル(PDF)をご覧いただけます
目次 特集 特集 特集
 第2次世界大戦以前は日本では痛風はまれな疾病で,一例報告ができるような状況であった.そのため日本人は遺伝的に痛風,高尿酸血症を発症しにくいのではないかとの説が信じられるほどであった.ところが戦後日本が復興し,かつ食生活の欧米化,アルコール摂取量の増加などに伴って,痛風は急増し,現在では日本の痛風患者は70〜90万人と推定されるに至っている.それとともに高尿酸血症の人数も著しく増加し,成人男性の20〜25%,とくに30代の男性では30%にも達するといわれ,その人数は数百万人と推計されている.
 尿酸あるいは尿酸塩沈着症としての痛風関節炎,結節,痛風腎,尿路結石など原因として考えられてきた高尿酸血症が,最近では脳血管障害,慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)の原因のひとつとして考えられるようになってきた.以前より高尿酸血症では高血圧,糖・脂質代謝異常,肥満,あるいはメタボリックシンドローム(metabolic syndrome;Mets)などを高率に合併することが知られており,事実痛風患者の3大死因は虚血性心疾患,脳血管障害,腎不全であった.しかし,今までこれらの疾病群は生活習慣を基盤として合併しやすいものと考えられてきた.ところが最近になり高尿酸血症が高血圧,CKD,Mets,動脈硬化などの発症・進展に関与しており,さらに少数例ではあるが,高尿酸血症を是正すると血圧の低下,CKDの発症・進展の抑制,心血管イベントの抑制が得られるとの報告が散見されるようになった.
 しかし,残念なことに世界的にも大規模な介入試験は行われておらず,十分なエビデンスとなっていない.この理由のひとつとして,CKDのような腎機能低下例では尿酸排泄促進薬の効果が減弱し,また今まで唯一臨床の場で使用可能であった尿酸生成抑制薬であるアロプリノールは腎排泄性の薬剤であり,蓄積性や副作用の面より腎機能低下例では用量を減量しなくてはならず,十分な血清尿酸低下作用を得られないことがしばしばであった.そのため大規模かつ積極的介入試験が行われなかった.
 最近日本で尿中以外にも糞中にも排泄され,腎機低下例でも用量を減じないで使用できる尿酸生成抑制薬が,アロプリノール以来40年ぶりに複数開発され,そのひとつであるフェブキソスタッソ(フェブリク(R))がこの程認可のはこびとなった.すなわち本邦開発の尿酸生成抑制薬を用いて高血圧,CKD,心血管疾患,Metsに対する高尿酸血症の大規模介入試験が可能となり,その研究成果によるエビデンスの確立が待たれるところである.
 このような状況のなかで,最近日本でアロプリノール以来40年ぶりに複数の尿酸生成抑制薬が開発され,高尿酸血症・痛風の治療にパラダイムシフトが生じている.そこで今回の特集では「高尿酸血症・痛風治療における新たな時代の幕開け」と題してこれからの治療に関して執筆していただくことにした.
細谷龍男
(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 教授)
特集:高尿酸血症・痛風治療における新たな時代の幕開け
1部:治療薬
1.新規尿酸生成抑制薬フェブキソスタットの特徴/大野岩男
2.尿酸排泄促進薬の今後の展開/藤森 新
3.尿アルカリ化の理論と尿アルカリ化薬の使い方/清水 徹
4.今後の創薬の戦略/市田公美

2部:治療方針
1.痛風関節炎・結節/谷口敦夫 他
2.腎障害合併例の治療/木村健二郎 他
3.高血圧合併例の治療/栗山 哲 他
4.高脂血症合併例の治療/山本徹也 他
5.メタボリックシンドロームを有する高尿酸血症の治療/益崎裕章 他
6.心血管障害予防的観点から/久留一郎 他
7.尿路結石の観点からみた高尿酸血症の治療/郡 健二郎 他
8.小児・若年者に対する高尿酸血症の治療/久保田 優
9.生活指導/箱田雅之
10.食品・飲料中のプリン体/金子希代子

訂正文
本誌2012年7月号に誤りがございましたので,訂正いたします.

1部 第3章「尿アルカリ化の理論と尿アルカリ化薬の使い方」(清水 徹 先生)
p22 図2の引用文献に関して

(誤)2 (正)4

皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます.