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手術ナーシング 2016年第2号(Vol.3 No.2)

2016年10月20日発売
A4変型判/112頁
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-71004-3
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特集体温管理
?どうして必要? どうすればいい? にお答えします?
企画編集/山蔭道明

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 私たち医療者,とくに看護師さんは毎日のように患者さんの体温を観察,記録し,その推移から患者さんの状態を把握するのに役立てています。そして,日本に限らず世界中の医療者が多くの研究を重ね,体温に関する知識や技術は普及してきています。しかし,実際にその意義を知り,また,その知識や技術を臨床に応用しているかといえば,それは疑問です。たとえば,日本ではいまだに手術中の多くの症例で直腸温を測定し,かつカバーをしていない病院もあるというから驚きです。
 ここで今一度,日本を代表する体温研究のエキスパートにわかりやすく,それぞれの分野について易しく解説してもらうことにしました。取り上げるテーマは,まず①体温の調節と調節中枢,②体温測定法−その利点とピットフォール,そして③術前の発熱と対応です。どのような場所が中枢となり体温調節を行っているのか,それを踏まえたうえで医療者として体温測定法を今一度勉強し直し,それぞれの利点や欠点を知っておくことは,ヒヤリ・ハットを防ぐことにつながります。さらに手術前の突然の発熱は,手術の予後を左右する重要なサインですが,それを引き起こしている原因を探ることが必要です。たとえば,前投薬にアトロピンを投与した際の発熱は,これを原因に手術を延期する必要はありません。また,手術対象になっているがんなどが原因で発熱をきたすこともあり,注意が必要です。
 次に取り上げるテーマは,④手術時の低体温−原因と悪影響,⑤加温・保温装置(輸液加温装置を含む),⑥悪性高熱症−病態と対応,⑦シバリング−原因と対応です。これらは主に周術期にかかわることですが,全身麻酔を行うなどするとあっという間に体温が下がってしまいます。手術中の軽度低体温は患者の予後に悪影響を及ぼすことがわかっており,私たち医療者が積極的に患者の体温を維持することで患者の予後改善につながります。米国では,2012年から全身麻酔中に軽度低体温に陥った場合,麻酔科の診療報酬が2%カットされるようになりました。手術中の体温低下の原因を知っておくことで,それに速やかに対応することができるようになります。また,それに対応するために手術の加温・保温装置があるため,その機種や方法,さらにピットフォールを知っておくことが必要です。たとえば,温風式加温装置は臨床上非常に有用ですが,ダクトが外れていると重度の熱傷をきたすことがわかっており,注意が必要です。悪性高熱症は麻酔薬の改善によりその頻度は減少した感がありますが,一度発症すると致死性の高い病態であるため,迅速かつ適切な対応が必要です。私も今までに2症例を経験しています。シバリングもただ寒いだけでなく,付随する合併症の頻度を上げるため,これも医療者として対応すべき病態です。
 続いて取り上げるテーマは,⑧小児の体温管理と⑨高齢者の体温管理です。それぞれに特徴があるため,改めて項目を分け概説します。最後に,⑩偶発性低体温症,⑪熱中症,そして⑫脳低体温療法を取り上げました。高齢者を中心に登山が流行していますが,山を甘くみると急変する天気に対応できず,いまだに不幸な事故が起こっています。熱中症もしかりです。早期に診断し,早期に対応することで予後が改善します。最後の脳低体温療法は,不幸にも脳障害の発症が懸念されるような病態に利用される治療です。これを紹介して特集を終わります。
 本特集を読んでいただければ,明日からでも体温に関するエキスパートナースとして医療チームの一員となって活躍できるようになるでしょう!
山蔭道明
(札幌医科大学医学部 麻酔科学講座 教授)
1.体温の調節と調節中枢/池田健彦 2. 目的にかなった手術中の体温測定部位はどこか?/及川慶浩,山蔭道明 3. 術前の発熱と対応/山内正憲 4. 手術時の低体温-原因と悪影響/岩下博宣,松川 隆 5. 加温・保温装置/新山幸俊 6. 悪性高熱症?病態と対応/新谷知久 7. シバリングー原因と対応/中山禎人 8. 小児の体温管理/名和由布子 9. 高齢者の体温管理/西川幸喜 10. 偶発性低体温症/小北直宏 11. 熱中症/氏家良人,飯田淳義,竹原裕子 12. 脳低体温療法/吉田真一郎