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手術ナーシング 2017年第3号(Vol.4 No.3)

2017年5月25日発売
A4変型判/80頁
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-71007-4
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特集手術室におけるエキスパートナースの看護実践
企画編集/吉川有葵

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 近年,外科的治療は著しく多様化,細分化し,それに伴って手術室看護師に必要な知識や技術も高度化しています。手術が安全に終了することは当然のことであり,手術看護が高度な技術や迅速な判断を要するものであっても,悲しいことに手術室には看護はないという世間の認識はいまだに残っています。
 1978 年,AORN(The Association of periOperative Registered Nurses;米国周手術期看護師協会)で手術室看護師の役割は「患者を中心として周手術期のプロセスに沿った看護を展開すること」と提唱されました。それにより手術室看護師の看護実践の活動範囲は術中だけにとどまらず,術前・術後へと拡大し,より専門性が求められるようになりました。手術室看護師が専門性を認識して高めていくためには手術室での経験が不可欠です。しかし,よりよい看護を提供するために必要な能力は無意識に行っているため他者には伝わりにくく,臨床で積み重ねた経験は暗黙知として個人の中に埋もれてしまう傾向にあります。ではいったい,手術看護のエキスパートナースたちはどのような経験を積み重ねているのでしょうか。
 私が以前行った研究で,エキスパートナースたちは「私たちは患者さんの代弁者なんです」と語りました。皆さんにとって「代弁者になる」とはどういうことでしょうか? 経験を積んだ手術看護のエキスパートナースは,患者を捉える手段として五感を働かせ,自身の感覚のみで患者の問題を特定するのではなく,感覚で捉えた状態を客観的な指標,患者の反応といった,患者を取り巻く総合的な状況から患者の問題を導いています。エキスパートナースの看護実践は,経験と感性に基づくところが大きいのです。そして,与えられた役割を忠実に果たすことが患者のためになると意味づけし,自らが患者の代弁者であると自覚することが,手術看護のやりがいや魅力を感じることにつながっていました。経験による学習や臨床判断能力の育成に貢献するためには,このエキスパートナースたちの経験を言語化していくことが重要です。
 本特集では,手術看護のエキスパートナースが何を考え,何を判断し,何を実践しているのか,何を大事にしているのか…,手術室におけるエキスパートナースの看護実践にせまっていきたいと思います。周術期における手術看護のエッセンスが盛り込まれています。ジェネラリストからエキスパートへ,エキスパートからさらなるエキスパートへ,皆さまにとってその懸け橋となることを願っています。
吉川有葵
(摂南大学 看護学部 看護学科 成人看護学(急性)講師)
1.術前の看護実践1 術前訪問における患者擁護/中村裕美
2.術前の看護実践2 術前訪問を活かす(ベテラン手術室看護師の技)/
  上田純子,石黒亜也子,野村友紀,立石雄也
3.手術侵襲を理解して看護を実践する/山口 円
4.手術 後の褥瘡予防に向けたエキスパートナースの判断内容と実践/小西美和子
5.器械出しの極意 〜人工膝関節置換術(TKA)を題材に〜/下雅意あすか,石立大典,水谷しのぶ
6.病棟と連携する/池邊美佳
7.チームで働くということ/佐藤裕子
8.外科医から見た手術室におけるエキスパートナース/高橋幸宏
9.新人・後輩看護師を育む/近藤葉子
10.私のキャリア 〜生涯学ぶということ〜/髙橋良知