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手術ナーシング 2017年第1号(Vol.4 No.1)

2016年12月18日発売
A4変型判/80頁
価格:本体2,000円+税
ISBNコード:978-4-287-71005-0
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特集手術部位感染の予防と治療
企画編集/清水潤三

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 外科手術において創部が化膿すること(手術部位感染)は,手術が開発された当初,避けられないものと考えられていましたが,無菌的手術法の確立と抗菌薬の開発により,手術部位感染は克服されたかのように思われました。しかし現実には,手術手技の向上に伴う対象疾患の拡大,耐性菌の出現,患者の高齢化などにより手術部位感染はゼロにはならず,逆により複雑なものと変化していきました。
 手術部位感染は治療よりも予防することが重要であることは議論のないものと思われますが,予防策についてはCDC(Centers for Disease Control and Prevention;アメリカ疾病予防管理センター)の手術部位感染予防ガイドラインから17年経ても,日本ではさまざまな議論が繰り広げられています。もちろんこれまで重要と思って実施してきた予防策が,実はあまり重要ではないと指摘されれば,反論が噴出するのは理解できますが,予防の評価は比較試験で手術部位感染の発生率を比較するしか方法がないことも明らかな事実です。日本においても大規模な無作為化比較試験がようやく実施されるようになりましたが,多くのエビデンスは海外頼みであることも無視できない現状であると思われます。
 今後手術部位感染予防の領域では,新たなエビデンスが生まれることで,今までは常識的に行われてきた予防策が否定されることが起こるかもしれません。しかし,医療行為のなかでも飛びぬけて不確実な手術という治療法をより安全に近づけるためには,新しいエビデンスを受け入れるという寛容さも持ち合わせることが必要と思われます。また一方で,清潔不潔の意識や,患者さんが急変した際にも落ち着いて行動するなど,エビデンスにはしにくいですが,手術部位感染予防には重要で,先輩から後輩へ受け継いていかなければならないものもあり,現在行っている予防策のなかでも変わらないものも多くあると思われます。
 本特集では,現時点で判明している最新のエビデンスをもとに,手術部位感染予防と治療に関して専門の先生方に執筆していただきました。手術室では多くの作業が手術部位感染予防に関連していると思われます。今一度,手術部位感染予防の基本について本特集をもとに確認していただければと思います。
清水潤三
(大阪労災病院 肝胆膵外科 部長)
1.手術部位感染の定義/四宮 聡
2. 手術部位感染サーベイランスと手術室ナースの役割/針原 康
3. 術前に行う手術部位感染対策/大毛宏喜,末田泰二郎
4. 手術室における手術部位感染予防(グローブ・ガウン・ドレープ)/小林美奈子,楠 正人
5. ドレーンの選択と術後管理/海堀昌樹,松井康輔,石崎守彦
6. 術後創部の管理/渡邉 学,松清 大
7. 感染創・開放創の治療/小山 勇
8. 術後腹腔内感染の外科的治療/賀川義規,内藤 敦,加藤健志
9. 術後腹腔内感染に対するIVR/保本 卓
10. 手術部位感染に対する抗菌薬治療/丸山 弘