HOME雑誌BEAUTY > BEAUTY 39号(Vol.5 No.2, 2022)
BEAUTY 第7号
BEAUTY 第39号
美容皮膚医学BEAUTY 第40号(Vol.5 No.3, 2022)

A4変型判/96頁
定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBNコード:978-4-287-91040-5

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特集●男性型・女性型脱毛症の治療とケア
   ―現状と未来―

企画編集/乾 重樹
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 1996年から2年間,米国のウィスコンシン大学,ロチェスター大学に留学しておりました.ボスはアンドロゲン受容体をクローニングした先生で,わたしの研究は前立腺と皮膚における核内レセプターについてでした.米国ではプロスカーという名称で前立腺肥大の治療薬フィナステリド5mg 錠がすでに発売されていました.留学中の1997年に低容量の1mg錠を男性型脱毛症の治療薬としてFDAが承認しました.研究室でもそれはしばしば話題となり,基礎研究者であったボスからも「フィナステライ(英語ではそんな感じの発音になります)は効くのか? 副作用はないのか?」としつこく聞かれたことを懐かしく思い出します.臨床医だから知っているだろうと思われたのだと思いますが,いかんせん留学に出発した1996年の日本では,男性型脱毛症は皮膚科の臨床においては治療の対象ではなかったのです.したがって,そんな質問には答えようがありません.留学から帰国して数年,2005 年に日本でもフィナステリドが上市され,男性型脱毛症は皮膚科で治療する疾患になりました.その後種々治療法が加わり,2010年,2017年には日本皮膚科学会より診療ガイドラインが発表されました.エビデンスの乏しい施術が横行していた状態がEBMという基準のもとに整理され,「何が標準で,何が規格外か」を明確に示したその役割はきわめて大きなものでありました.しかし,ガイドラインの表現はやや堅苦しく,新しく生じたすき間的な疑問や興味に必ずしも答えてはくれません.
 そこで本特集は,男性型脱毛症・女性型脱毛症をメインに,病態,治療法,ケアの現状を新しい切り口で解説し,さらに毛髪再生という未来の問題についても議論することをねらいとしています.各々の論点につき,日本を代表し,さらに世界的にも有力なエキスパートの先生方にわかりやすく解説を書き下ろしていただきました.執筆陣の熱意ある筆致と息吹を感じ取っていただければと思います.コロナ終息となった学会場で,読者と執筆者の皆様が本特集をネタに楽しい議論ができることを心より願っています.

乾 重樹
(大阪大学大学院 医学系研究科 皮膚・毛髪再生医学(アデランス)
寄附講座 特任教授,心斎橋いぬい皮フ科 院長)




Ⅰ.男性型脱毛症
1.5α-還元酵素阻害薬のAGA長期成績と安全性/栁澤正之,佐藤明男
2.植毛up to date/長井正壽
3.赤色LEDによる脱毛症の治療/乾 重樹
4.フィナステリドとデュタステリドの使い分け/乾 重樹
Ⅱ.女性型脱毛症
1.女性型脱毛症の病態メカニズム解析/大山 学
2.女性型脱毛症の診断と治療/植木理恵
3.新しい女性型脱毛症の分類法/金子章子
4.毛髪の加齢変化とヘアケア/長瀬 忍
Ⅲ.再生医療
1.毛球部毛根鞘細胞を用いた壮年性脱毛症に対する臨床研究/尾郷正志
2.細胞外小胞:新しい毛包再生ツール/中川孝俊,乾 重樹
3.周期的な毛包を再生させる幹細胞の増幅と特定/武尾 真,辻 孝